この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 寅次郎恋歌(第8作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 寅次郎恋歌(第8作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 寅次郎恋歌(第8作)」の作品データ
公開日 | 1971年12月29日 |
収録時間 | 113分 |
マドンナ | 池内淳子 |
ゲスト | 志村喬/吉田義夫/岡本茉莉 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清 企画:高島幸夫/小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:佐藤公信 音楽:山本直純 録音:中村寛 調音:小尾幸魚 照明:内田喜夫 編集:石井巌 監督助手:五十嵐敬司 装置:小野里良 装飾:町田武 進行:玉生久宗 衣装:東京衣装 現像:東京現像所 製作主任:池田義徳 |
衣装協力 | きもの:洛趣織 帯:いづくら帯 |
協力 | 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,481,000人(シリーズ33位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「春だドリフだ 全員集合!!」 |
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映画「男はつらいよ 寅次郎恋歌(第8作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 寅次郎恋歌(第8作)」のロケ地「男はつらいよ 寅次郎恋歌(第8作)」作品のあらすじ
母が危篤だという知らせを受けた博は、さくらと共に実家のある岡山県備中高梁へと向かう。
ところが、母の死に目に会うことはできなかった。
博たちが母の葬儀に参加する中、岡山で売をしていた寅次郎が突然、葬儀場に現れて驚いてしまう。
葬儀が終わり、博とさくらは柴又へ帰っていくが、一人残された博の父親・飈一郎(志村喬)を心配する寅次郎はしばらく一緒に住んで慰めてあげることに。
ある夜、飈一郎は妻子なしで身軽だと語る寅次郎に、家庭を持って定住することの大切さを自らの体験を元に話して聞かせる。
その話を聞いて、深く反省した寅次郎は、渡世人稼業から足を洗おうと柴又に帰ってくる。
ところが、柴又に新しく喫茶店を開業した子持ちの未亡人・貴子(池内淳子)と出会った寅次郎は、理性に反して貴子に恋をしてしまう。
ある日、貴子が借金で苦しんでいることを知った寅次郎は、何とか金の工面ができないものかと悩むが、結局何もできないまま時間だけがむなしく過ぎていく。
寅次郎は己の不甲斐なさを痛感するが、現実を受け入れて力強く生きていこうとする貴子の姿を目の当たりにし、自らで身を引く選択をする。
「男はつらいよ 寅次郎恋歌(第8作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- おいちゃん:森川信
- 御前様:笠智衆
- 博:前田吟
- 毅:梅野泰靖
- 修:穂積隆信
- 座長:吉田義夫
- おばちゃん:三崎千恵子
- 梅太郎:太宰久雄
- 学:中沢祐喜
- 小百合:岡本茉利
- 労務者:谷村昌彦
- 飈一郎:志村喬
- 貴子:池内淳子
<サブキャスト>
上野綾子/中村はやと/山本豊子/中田昇/志馬琢也/村上記代/秩父晴子/大杉侃二郎/劇団日本児童
マドンナ:池内淳子
<役名:六波羅貴子>
題経寺に新しく開業した喫茶店「ローク」の経営者。
小学校三年生の息子と二人で暮らす未亡人。
寅次郎とは題経寺で出会う。
内気な息子の面倒を見てくれる優しいおじさんとして寅次郎を見ている。
新珠三千代、若尾文子に続いて、着物が似合うマドンナ。
男の力を借りようとせず、自分の力で生き抜こうとする自立した女性を演じている。
→「「男はつらいよ」に登場した寅さんの歴代マドンナ47人を徹底ガイド」
ゲスト:志村喬
<役名:諏訪飈一郎>
博の父。
岡山県に実家を持ち、博の幼少期には北海道で大学教授(インドの古代哲学)を務めていた。
妻の葬儀によって、親子、兄弟の関係がギクシャクしていたことが明らかになる。
第1作目の博の結婚式で初めて登場し、今回2回目の登場となる。
妻子を持たずに気楽に生きる寅次郎に、家庭を持って定住することの大切さを自らの体験(「庭一面に咲く、りんどうの花」の話)を元に話して聞かせる。
この「りんどうの花」のエピソードは、今作のテーマである、「漂泊」と「定住」の対比に用いられる。
ゲスト:吉田義夫
<役名:坂東鶴八郎>
旅役者一座の座長。
娘は、一座の花形女優・大空小百合(岡本茉莉)。
37作目に登場した時には、「中村菊之丞」と改名されている。
坂東鶴八郎一座は、シリーズ中に何度か登場してくるが、物語上では寅次郎のテキヤと同列の稼業として扱われており、会うたびに寅次郎は情けをかけるようになる。
吉田義夫は、この役以外にも冒頭の夢のシーンでも、たびたび登場してくる。
ゲスト:岡本茉莉
<役名:大空小百合>
坂東鶴八郎一座の花形女優。
座長・坂東鶴八郎の娘。
大空小百合は、後の37作目に登場してくるマドンナ・島村美保(志穂美悦子)と、物語上では同一人物である。
岡本茉莉は、この役以外にも、実はシリーズ中で様々な脇役で登場してくる。
「男はつらいよ 寅次郎恋歌(第8作)」作品の解説
第5作の「渡世人」と「堅気」を対比させたテーマと似ているが、この作品で寅次郎は、定住者になることを断念し、自らで漂泊者への道を選択していくという展開となる。
今作に登場するマドンナは、女手一人で子供を育てていこうとする自立した女性であり、今まで登場してきたようなタイプのマドンナとは違う。
そんな自立したマドンナに対し、寅次郎がどんな恋愛を繰り広げていくのかが見ものである。
この作品では、シリーズ中に何度か登場してくる坂東鶴八郎一座が初めて出演する回であり、漂泊者である寅次郎と同列の立場として描かれるのも特徴的。
そして、山陰と山陽を結ぶ伯備線を走り抜ける、D51形の蒸気機関車(デゴイチ)の映像が映し出されるところも魅力のひとつである。
32作「口笛を吹く寅次郎」では、電化された直後の伯備線が映し出されており、そのあたりを見比べて観てみるのも面白いだろう。
また、おいちゃん役の森川信がこの作品を最後に他界してしまったため、この作品が遺作となった。
自らで身を引く「引き際」を覚える寅次郎
この作品の特徴と言えば、寅次郎が自らマドンナ・貴子から身を引く行動を取るところだろう。
寅次郎は決してフラれたわけではなく、失恋したわけでもない。
人間の運命に逆らわずに生きていこうとする貴子の生き方に、寅次郎は己の不甲斐なさを痛感するのだ。
お店も何もかも捨てて生きていければこれほど楽な生き方はない、でもそうできないのが定住者として生きていく運命のようなもの。
ところが、泡(あぶく)のような生き方しかできない寅次郎の生き方では、貴子への本当の愛に応えることができないのだ。
寅次郎はそのことを深く悟ったのだ。
貴子が、「明日必ず振り込みます」と電話相手に話した後にいなくなる寅次郎の心情を想像すると、胸が痛くなる。
この作品で初めて、寅次郎は自らで身を引く「引き際」を覚えるのだ。
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