この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」の作品データ
公開日 | 1989年8月5日 |
上映時間 | 109分 |
マドンナ | 竹下景子 |
ゲスト | 淡路恵子/柄本明 |
監督 | 山田洋次 |
原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:内藤誠 プロデューサー:島津清/黒須清皓 企画:小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:出川三男 音楽:山本直純 録音:鈴木功 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 スチール:金田正 監督助手:五十嵐敬司 製作担当:峰順一 装置:森篤信 装飾:露木幸次 美粧:宮沢兼子 進行:副田稔 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 |
協力 | ウィーン市観光局 オランダ政府観光局 インターコンチネンタルホテル KLMオランダ空港 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,852,000人(シリーズ歴代22位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「夢見通りの人々」 |
啖呵売した商品 | ウィーンのバッグ ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
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「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」のロケ地「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」作品のあらすじ
宮城県の栗原電鉄に乗って旅をする寅次郎は、その線路で自殺を図ろうとして失敗するサラリーマン・兵馬(柄本明)と出会う。
そんな兵馬を放ってはおけない寅次郎は一日中、兵馬の話を聞いて慰めるが、いつの間にか兵馬に懐かれてしまう。
そして、「寅さんと二人でウィーンに行きたい」と兵馬に言われてしまった寅次郎は断れないままウィーン行きの飛行機に乗せられてしまう。
ところがウィーンに来た寅次郎は日本食が食べれず、美術館ばかり行きたがる兵馬に文句ばかり言い出し、兵馬に愛想を尽かされてしまう。
ウィーンの街に一人取り残されてしまった寅次郎は、現地で観光ガイドをしている日本人女性・久美子(竹下景子)と出会う。
久美子の知り合いのマダム(淡路恵子)とも知り合い、寅次郎は久美子とより仲良くなっていく。
ある時、久美子が望郷への想いを募らせていることを知った寅次郎は、日本に帰るように久美子を説得し、空港まで連れていくが・・・
「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 満男:吉岡秀隆
- ポンシュウ:関敬六
- 旅行社員:イッセー尾形
- 部長:園田裕久
- 車掌:笹野高史
- ヘルマン:マルティン・ロシュバーカー
- テレーゼ:ヴィヴィアン・デュバル
- 老婦人:マルタ・ダングル
- ヘルマンの母:ブリギッテ・アントニウス
- 坂口兵馬:柄本明
- マダム:淡路恵子
- 御前様:笠智衆
- 江上久美子:竹下景子
<サブキャスト>
じん弘/笠井一彦/北山雅康/武野功雄/篠原靖治/雁坂彰/田端宗寿/入江正夫/西川さくら/マキノ佐知代/田中リカ/石川るみ子/志麻充子/光映子/谷よしの/
マドンナ:竹下景子
<役名:江上久美子>
オーストリアのウィーンで働くツアーコンダクター。もともとは東京で働いていたが嫌になってヨーロッパへ。ウィーンで暮らすマダム(淡路恵子)に助けられて現在に至る。観光ガイド中にウィーンで迷子になる寅さんと出会う。寅さんと話している中で久美子は望郷の念にかられ、一度は日本に帰る決断をするが、日本に向かう空港で現地に住むオーストリア人にプロポーズされてしまった久美子はウィーンにとどまることを選択する。
竹下景子は、第32作「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」で石橋朋子、第38作「男はつらいよ 知床慕情」で上野りん子というマドンナ役でも出演しています。
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「男はつらいよ」に登場した寅さんの歴代マドンナ47人の紹介と演じた女優さん徹底ガイド
ゲスト:淡路恵子
<役名:マダム>
久美子が食えない時代にいろいろ面倒を見たというウィーン在住のマダム。
表向きはお酒の輸入商、裏ではスパイをしていたという亡き夫の遺産で暮らしている。
出身は東京都葛飾区金町。
寅次郎とは久美子の紹介で出会う。
ゲスト:柄本明
<役名:坂口兵馬>
東京の一流企業で働くエリートサラリーマン。
過酷な勤務のため突発的に死にたくなるという病気を持っている。
寅次郎とは自殺を図ろうとして失敗した宮城県で出会う。
いろいろ面倒を見てくれる寅次郎を慕い、一緒にウィーンに行きたいと懇願する。
「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」作品の解説
ウィーン市長が日本を訪れる飛行機の中で鑑賞した「男はつらいよ」に感動して実現したという作品。
最も日本人らしい日本人・車寅次郎がオーストリアのウィーンの街を歩くという斬新で異色な雰囲気漂う物語である。
寅次郎を外国に連れて行ったらどんな感じになるのだろう?と想像を膨らませてから観るとより楽しめるかもしれない。
今回は寅次郎の恋愛を描くよりも、ややホームシックにかかるマドンナを故郷の塊みたいな男・寅次郎が慰めるというストーリーになっている。
前半は日本ロケだが、後半からオーストリアロケに変わり、宮殿、博物館、寺院といったウィーンの有名な建造物が楽しめるのも見どころの一つ。
また、ドナウ川に佇み会話する寅次郎とマドンナとのシーンも、どこか江戸川と対比させて描いているようで面白い。
純日本人・車寅次郎を外国に連れて行ったらどんな感じになるのだろう?を実現した作品
今作の見どころは、純日本人である寅次郎が芸術の都ウィーンに連れて行かれるという設定である。
まず、この映画を観る前に連想するのは、寅次郎が外国の街を一人で旅ができるのか?言葉は通じるのか?食事は大丈夫なのか?といった疑問。
しかし、これらの疑問をすべて映画の中で面白おかしく描いてくれているのがこの作品の見どころである。
純日本人である寅次郎は言葉の通じない国に連れて行かれると、やはりその土地で器用に立ち回れなくなるようだ。
同行した兵馬と一緒でなければホテルから一歩も出ることができなくなる。
ホテルの窓から日本人らしい人を見つけ、自分の生存を伝えるためのメッセージをトイレットペーパーに書いて柴又のくるまやに届けてほしいと頼んだり・・・・
また、ウィーンで出される食事には一切手を付けず、引きこもってどこで用意したのかわからない梅干しやカップラーメンを食べる。
ただ1つ、うまく立ち回れたところがあるとすれば、兵馬に置いてきぼりにされた王宮庭園(ブルクガルテン)で会った老女との会話。
寅次郎は日本語で話し、老女はドイツ語で話しているにも関わらず、なぜかお互いの言っていることがわかってしまうというシーン。
寅次郎のコミュニケーションの能力は日本だけではなく、世界中のどこに行っても通用してしまうのかもしれない。
ウィーンに来た寅次郎がうまく立ち回れたのはこの部分のみ。
あとはウィーンに来たことすら思い出せないほど、寅次郎の記憶の中にはウィーンの街と柴又の風景が重なって見えてしまうだけというオチになる。
博たちに「ウィーンはどうでしたか?」という質問に答えた寅次郎の返事は以下。
「広い道を車で行ったら大きな川のところに出たなあ・・・川っぷちの土手をずっと行ったらな、お寺があってお坊さんが一人歩いてくる。”御前様、いいお天気で”って挨拶しちゃった。そのお寺の前に西洋の団子屋みたいなのがあってね・・・その西洋のじいさんとばあさんが”寄ってらっしゃい、寄ってらっしゃい” ”いらない、いらない”と俺はそう言ったんだけどね、まあちょっと一服したわけ・・・気が付いたら日が暮れて、遠くのお寺から鐘の音がゴーンとなって、カラスがカー、カーと鳴く」
寅次郎にとっては、「地球上どこに行っても同じ」という結論になってしまう。
ウィーン市側の希望で実現した「男はつらいよ」のウィーンロケ
1986年にウィーン市長のヘルムート・ツィルクが日本訪問の際に飛行機機上で映画『男はつらいよ』シリーズの作品を鑑賞し、作品の世界がウィーン市郊外の風景やウィーン市民の気質と似ているという理由から友好交流を希望し、この作品が実現した。
現在、ウィーンのフローリツドルフ区内には「葛飾通り」や「寅さん公園」が存在し、葛飾シンフォニーヒルズには「モーツァルト像(実物大のレプリカ)」が設置されている。
「男はつらいよ 寅次郎心の旅路(第41作)」に関するツイートまとめ
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