この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 寅次郎と殿様(第19作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 寅次郎と殿様(第19作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 寅次郎と殿様(第19作)」の作品データ
公開日 | 1977年8月6日 |
収録時間 | 99分 |
マドンナ | 真野響子 |
ゲスト | 嵐寛壽郎/三木のり平/平田昭彦 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清 企画:高島幸夫/小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 音楽:山本直純 美術:出川三男 録音:中村寛 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 スチール:長谷川宗平 監督助手:五十嵐敬司 装置:小島勝男 装飾:町田武 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 殺陣:足立怜二郎 進行:玉生久宗 製作主任:峰順一 |
協力 | 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,402,000人(シリーズ38位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「坊ちゃん」 |
啖呵売した商品 | ゴム長靴、ぬいぐるみ ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
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映画「男はつらいよ 寅次郎と殿様(第19作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 寅次郎と殿様(第19作)」のロケ地「男はつらいよ 寅次郎と殿様(第19作)」作品のあらすじ
満男を喜ばせようとオモチャの鯉のぼりを買って帰省してくる寅次郎。
ところが、とらやでは実際の鯉のぼりが上がっており、オモチャの鯉のぼりを買ってきた寅次郎は落ち込んでしまう。
おまけに「トラ」と名付けられた犬まで登場し、怒りが頂点に達した寅次郎は再び旅へと出て行ってしまう。
寅次郎が向かった先は、四国の伊予大洲。
そこで一人で旅をしている訳あり風の若い女性(真野響子)と出会うが、その時は名前を聞くことなくそのまま別れていく。
翌日、寅次郎は大洲の城跡でお殿様風の老人・藤堂久宗(嵐寛壽郎)と知り合い、気に入られた寅次郎は藤堂家のお屋敷に招かれる。
亡くなった息子の嫁・鞠子という女性に会いたいという願いを軽く聞き入れてしまった寅次郎は、東京に戻ってから鞠子という女性を血眼になって探し始める。
ところが、以前大洲で出会った訳あり風の女性が探し求めていた鞠子だということを知り、殿様の願いは一瞬で叶えられる。
その後、殿様から鞠子の婿に寅次郎を推薦したいといった内容の手紙が届き・・・。
「男はつらいよ 寅次郎と殿様(第19作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 鞠子:真野響子
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 満男:中村はやと
- 党首:吉田義夫
- 巡査:寺尾聰
- 宗通:平田昭彦
- 御前様:笠智衆
- 殿様:嵐寛寿郎
- 執事:三木のり平
<サブキャスト>
藤代圭子/斎藤美和/田中世津子/ロジェ中山/笠井一彦/羽生昭彦/長谷川英敏/木村賢治/林家源平/津嘉山正種/久世竜之介/谷よしの/光映子/岡本茉莉/
マドンナ:真野響子
<役名:堤鞠子>
大洲藩主十六代目殿様・藤堂久宗(嵐寛寿郎)の息子の嫁。夫はすでに亡くなってしまっているため、現在は東京で暮らす未亡人。亡き夫の墓参りに訪れた愛媛(伊予大洲)で寅さんと出会う。どうしても息子の嫁に会いたいという殿様の願いを叶えるために、東京で暮らす鞠子を探し出した寅さんだったが、鞠子の嫁になってほしいという殿様からの手紙が受け取り、舞い上がってしまう。ところが、鞠子にはすでに結婚を考えている相手がいることを後になって知ることになる。
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ゲスト:嵐寛壽郎
<役名:藤堂久宗>
伊予大洲藩十六代当主。
大洲の城跡で寅さんが落とした500円札を拾ったことで寅さんと出会う。
民主主義を嫌い、今も殿様としての生活をしているために、かなりの世間知らず。
東京で暮らす、亡き息子の嫁に会いたがっている。
戦前・戦後期にわたって活躍した時代劇スター「アラカン」の愛称で親しまれた嵐寛壽郎。
映画シリーズ「鞍馬天狗」は40本続いていた。
ゲスト:三木のり平
<役名:吉田六郎太>
大洲の殿様・藤堂久宗に仕える執事。
世間知らずの殿様に気を遣いながら執事の業務を遂行している。
殿様に言われたことは基本的に従うが、どこか冷めた目で殿様を見ている部分がある。
俳優・演出家・コメディアンなどをこなす多才な喜劇人。
お屋敷に招待された寅さんを必死に帰そうとするやり取りは見もの。
「男はつらいよ 寅次郎と殿様(第19作)」作品の解説
冒頭、「鯉のぼり騒動」「トラ犬騒動」と、2つのとらや騒動が巻き起こる珍しい作品。
17作、18作とかなり濃密な人間ドラマが続いたが、今作はややリラックスしながら楽しめる作品になっている。
時代劇「鞍馬天狗」を演じ続けた大御所・嵐寛寿郎演じる時代錯誤な殿様と、渥美清演じるフーテンの寅次郎との絡みが面白く、殿様の執事として登場する三木のり平も二人の役をうまく引き立てている。
ただ1つ残念なのは、アラカンさんの役を輝かせるために、寅次郎と鞠子の恋愛がやや隅っこのほうに追いやられてしまってるところ。
今作は、寅次郎が鞠子に岡惚れするという展開にはならず、無理やり結婚を意識させられて戸惑いながら自滅していくという展開になる。
ただ、全体的にコメディー色が強い作品なので、笑える箇所は存分に用意されている。
そして、四国大洲旧城下町の風景を存分に楽しめる作品でもある。
夢のシーン
鞍馬天狗に扮する寅次郎が、山岳党の仕掛けたワナにはめられて決闘するハメになる夢。
パロディ元は、映画「鞍馬天狗 角兵衛獅子」。
鞍馬天狗がモモヒキを履いていることに気付くさくらと、その理由を聞かれて「ちょっと風邪引いてんだよ」という寅次郎とのやり取りがいい。
夢と現実の境界線がわからなくなるような面白い夢。
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映画「男はつらいよ」オープニングの寅さんの夢のシーン全まとめ
とらや騒動が2回巻き起こる異色作
この19作は、冒頭でよく起こる「とらや騒動」が2回連続で巻き起こる。
まずは、「鯉のぼり騒動」、それが解決してほっとするのも束の間、今度は「トラ犬騒動」でもめまくるのだ。
「とらや騒動」が2回連続で巻き起こるのは、シリーズの中でもこの作品のみ。
最初のカットで、この後に起こる2つの騒動を予兆するかのように、「鯉のぼり」と「トラ犬」が1つの絵の中に収まっているのが面白い。
亡き息子への殿様の懺悔と和解の物語
末の息子・克彦の結婚に反対し、それを理由に息子を勘当してしまった殿様。
結婚に反対した理由は詳しく描かれてはいないが、おそらく克彦の結婚が殿様にとって身分の合わない、そぐわないものに思えたということなのだろう。
殿様が家柄や形式にこだわる性分だというのは、「民主主義が嫌い」という発言と、映画の後半に登場してくる殿様の長男(平田昭彦)の振る舞いを見れば、だいたい予想が付く。
そんな家柄や形式にこだわる殿様も、克彦が死んで初めて自分の考え方が間違っていたということに気付き始めるのだ。
老い先短い自分の人生を考え、「せめて息子の妻に会ってお詫びとお礼がしたい、それが唯一、今自分にできる息子への懺悔である」と殿様は思ったに違いない。
亡き息子への殿様の懺悔と和解は、克彦の妻・鞠子(真野響子)に直接会って詫びることで一瞬にして解決へ向かっていく。
ここに至るまでに、殿様と鞠子の間ではきっと様々な苦悩、もしかしたら遺恨などもあったのかもしれない。
でも直接会い、どちらかが誠意を持って対応すれば、そこに至るまでの月日など関係なくなってしまうということなのだろう。
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