この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 噂の寅次郎(第22作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 噂の寅次郎(第22作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 噂の寅次郎(第22作)」の作品データ
公開日 | 1978年12月27日 |
上映時間 | 104分 |
マドンナ | 大原麗子 |
ゲスト | 室田日出男/泉ピン子/志村喬 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清 企画:高島幸夫/小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:出川三男 音楽:山本直純 録音:中村寛 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 スチール:長谷川宗平 監督助手:五十嵐敬司 装置:小島勝男 装飾:町田武 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 進行:玉生久宗 製作主任:峰順一 |
協力 | 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,915,000人(シリーズ16位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「俺は上野のプレスリー」 |
啖呵売した商品 | 電子バンド、易本(人相・手相) ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
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映画「男はつらいよ 噂の寅次郎(第22作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 噂の寅次郎(第22作)」のロケ地「男はつらいよ 噂の寅次郎(第22作)」作品のあらすじ
彼岸でお墓参りに出かけたさくらたちは、こっそりと父親にお墓参りに来ていた寅次郎と遭遇する。
気分を良くした寅次郎は予定の仕事を忘れて「とらや」へ立ち寄るが、タコ社長の行方不明思い込み騒動で一悶着あり、次の日の明け方にまた旅に出ていってしまう。
ある日、静岡を旅していた寅次郎は、博の父親・飈一郎(志村喬)と偶然にバスの中で再会する。
しばらく一緒に旅をする二人だったが、飈一郎の「今昔物語」の話に感化された寅次郎は、人の一生について考えさせられ、一人で柴又へと戻っていく。
ところが、ちょうど「とらや」で働き出した、美しい人妻・早苗(大原麗子)と遭遇してしまった寅次郎は、「今昔物語」の話すらも忘れて早苗に夢中になってしまう。
寅次郎は早苗が人妻であることを知ってショックを受けるが、早苗の離婚が成立したこと知って、またも有頂天になってしまう。
ある日、早苗の幼馴染みで、従兄妹の肇(室田日出男)がとらやへ訪問してくる。
そこで、肇が幼少期から早苗に好意を持っていたということを寅次郎は知ってしまう。
「男はつらいよ 噂の寅次郎(第22作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 満男:中村はやと
- さくの父(夢のシーン):吉田義夫
- 瞳:泉ピン子
- 添田:室田日出男
- 雲水:大滝秀治
- 御前様:笠智衆
- 博の父:志村喬
- 早苗:大原麗子
<サブキャスト>
明石潮/津嘉山正種/久世竜之介/遠藤正登/熊倉正博/池田まさる/宗田千恵子/滝真奈美/光映子/泉マキ/長谷川英敏/木村賢治/羽生昭彦/笠井一彦/
マドンナ:大原麗子
<役名:水野早苗>
職安からの紹介で「とらや」に働きにくる女性。結婚はしていたが夫とうまくいかずに別居中。店員として働くようになった「とらや」で寅次郎とばったり出会う。あまりの美しさに仮病を使ってまで「とらや」に居座ろうとする寅さん。しばらくしてから離婚に踏み切った早苗を内心喜ぶ寅さんだったが、ある時幼馴染みの男・肇(室田日出男)が早苗に惚れていることに気付き、そっと身を引いていく。
大原麗子は、第34作「男はつらいよ 寅次郎真実一路」で富永ふじ子という別なマドンナ役として再度登場してくる。
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「男はつらいよ」に登場した寅さんの歴代マドンナ47人の紹介と演じた女優さん徹底ガイド
ゲスト:室田日出男
<役名:添田肇>
早苗(大原麗子)の幼馴染みで、早苗の従兄妹の高校教師。
出身は北海道の小樽。
小学校の時に早苗と家が近所だったため、幼いころから早苗のことをよく知っていて、早苗から兄さんのように慕われていた。
寅次郎とは、早苗の新しい引越先での荷物を運搬中にバッタリと出会い、その後、とらやに訪問してきた時に早苗への好意を寅次郎に見抜かれてしまう。
ゲスト:泉ピン子
<役名:小島瞳>
男の都合に合わせてうまく利用されてしまう女性。
寅次郎とは、静岡県の塩郷ダムで失恋して泣いているところに声を掛けられ、知り合う。
近くの食堂で寅次郎に慰められたことで失恋の痛手から立ち直る。
ゲスト:志村喬
<役名:諏訪飈一郎>
博の父。
岡山県に実家を持ち、博の幼少期には北海道で大学教授(インドの古代哲学)を務めていた。
寅次郎とは信州に向かうバスの中で偶然に再会する。
第1作目の博の結婚式、第8作の博の母親の葬儀に続き、シリーズ三回目の登場となる。
今作では、「今昔物語」を元に、人の一生のはかなさについて寅次郎に教えて聞かせる。
また晩年に向かっていく飈一郎の死への覚悟と終活が描かれる。
「男はつらいよ 噂の寅次郎(第22作)」作品の解説
通りすがりの雲水に「女難の相が出ております。」と告げられて始まっていく今作。
作品では、離婚の危機が迫るマドンナ・早苗(大原麗子)と、男に弄ばれる瞳(泉ピン子)、という二人の不幸な女性たちが登場し、それぞれが寅次郎の運を借りて幸せになっていく。
見どころは、従兄妹すらも狂わせてしまうほどのマドンナ・早苗(大原麗子)の魅力。
人妻でありながらも、時にまるでけがれを知らない少女のような天真爛漫な振る舞いを見せ、寅次郎を困惑させていく。
そして、博の父・飈一郎(志村喬)が第8作目ぶりに再登場。
再び寅次郎の人生の道しるべとなって、様々な影響を与えていく存在となっていく。
今作の飈一郎は、人生をどのように締めくくるか、終活の準備をし始める姿も描かれる。
夢のシーン
寅地蔵尊の幻影と化した坊主(寅次郎)が、おさく(さくら)の願いを聞き入れ、柴又村の幸せと平和をもたらす夢。
寅地蔵が、優しいおさく(さくら)に恩返しをする夢。
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映画「男はつらいよ」オープニングの寅さんの夢のシーン全まとめ
二人の不幸な女性たちを幸せへと導いていく寅次郎
この作品は、寅次郎が旅の途中ですれ違った雲水から「女難の相が出ております。」と警告されて始まっていく。
まるで、「これから出会う女性との縁はない」と予言されたかのように・・・。
案の定、離婚の危機が迫るマドンナ・早苗(大原麗子)、そして男に弄ばれる瞳(泉ピン子)の二人の女性たちと巡り合うものの、恋は成就せず、それぞれが幸せを掴んで寅次郎の元を去っていく展開となる。
今回は寅次郎がフラれるというよりも、二人の不幸な女性たちを寅次郎が幸せへと導いていく物語と言える。
そして、物語のラストでは、寅次郎の中にあった「女難の相」が消えたかのように、寅次郎は再びあの雲水と遭遇し、お互いに手を合わせて無言で別れていくのだ。
寅次郎を惑わす小悪魔的マドンナ・早苗(大原麗子)の魅力
この作品の見どころは、マドンナ・早苗を演じる大原麗子の魅力。
作品のいたるところで大原麗子だからこそ活きる、小悪魔的な演技が光る。
まずは、早苗が弁当を食べる時に寅次郎の視線を感じ、恥ずかしがって「見ないで・・・」と言ってしまうシーン。
そして、離婚が成立したその日にも関わらず、帰り際に「わたし、寅さん好きよ」と言ってしまうシーン。
これらはシリーズ中に登場した他のマドンナたちにやらせても醸し出せない空気感だ。
まさに大原麗子だからこそ活きる演技。
一見、誤解を生んでしまうような大胆な振る舞いだが、これも大原麗子の可憐さゆえに許されてしまう魅力と言えるだろう。
そして、初めて早苗と出会い、その魅力に取り憑かれた寅次郎は、仮病を使ってまでとらやへ戻る口実作りをするのだ。
予期せずに出動してきた救急車に乗せられる時の寅次郎の表情は最高に笑える。
飈一郎を演じる俳優・志村喬の独特の存在感
もう1つの見どころは、7年ぶりに登場する博の父親・飈一郎を演じる志村喬の存在感だ。
飈一郎を演じる俳優・志村喬はこの映画の公開から4年後に他界するが、まるで飈一郎から抜き出したかのように人間・志村喬がそこで演じているようにも見えてくる。
今作でも、寅次郎に「今昔物語」の話を聞かせ、生きていくためのヒントを与えていく。
また、今回の飈一郎は終活の雰囲気を漂わせる演出がなされているのが特徴的だ。
さくらが飈一郎を見送る柴又駅でのシーンは何とも味わい深いものになっている。
飈一郎が博の住む柴又へ訪れてきた本当の目的についてはっきり描かれることはなかったが、飈一郎の行動からおそらく心のどこかで博と一緒に暮らしたいという望みが見え隠れしていたように思える。
しかし、その望みも現実的には難しく、飈一郎は安曇野に買っておいた土地をさくらにこっそり教え、一人実家のある岡山へと帰っていくのだ。
そんな飈一郎の気持ちを感じつつも何も言えないさくらがまた切ない。
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