この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
- 1 映画「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」の予告編動画
- 2 映画「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」の作品データ
- 3 映画「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」のDVD&Blu-ray
- 4 映画「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」のサブスク動画配信サービス
- 5 「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」のロケ地情報
- 6 「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」作品のあらすじ
- 7 「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」作品のキャスト
- 8 「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」作品の解説
- 9 「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」に関するツイートまとめ
映画「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」の作品データ
公開日 | 1981年8月8日 |
上映時間 | 104分 |
マドンナ | 松坂慶子 |
ゲスト | 芦屋雁之助 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清 製作補佐:佐生哲雄 企画:高島幸夫/小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:出川三男 音楽:山本直純 録音:鈴木功 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 スチール:長谷川宗平 監督助手:五十嵐敬司 装置:小島勝男 装飾:町田武 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 進行:玉生久宗 製作主任:峰順一 振付:松見登 方言指導:土部歩 衣装提供:銀座三越 |
協力 | 柴又新明会 鈴木自動車(株) 対馬島観光協会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,821,000人(シリーズ25位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「俺とあいつの物語」 |
啖呵売した商品 | 夏物ワンピース(アッパッパ)、水中花 ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
映画「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」のDVD&Blu-ray
映画「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」のサブスク動画配信サービス
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「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」のロケ地「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」作品のあらすじ
久しぶりにとらやに帰省した寅次郎。
金策に追われ、夜になっても帰ってこないタコ社長を心配した寅次郎は江戸川沿いを探しまくる。
ところが、タコ社長は旧友と酒を飲んでいただけだったということがわかり、大ゲンカとなる。
タコ社長が無事であったことに安心した寅次郎は、翌日にまた旅に出て行ってしまう。
ある日、広島に売をしにきていた寅次郎は、祖母のお墓参りをしているふみ(松坂慶子)と出会う。
ふみの身の上話を聞いていくうちに二人の距離が縮まるが、二人はその日のうちに別れていく。
ところが、寅次郎が大阪で売をしている時に偶然に芸者姿のふみと再会する。
意気投合した二人は宝山寺でデートをするが、ふみに何年も会っていない弟がいることを知った寅次郎は、弟に会いに行くようにふみを説得する。
ところが、すでにその弟が亡くなっていることを知ったふみは失意のどん底となる。
その夜、ショックのあまり仕事を抜け出して寅次郎の部屋を訪れてしまうふみだったが、明け方、寅次郎に迷惑をかけたことを知り、置手紙を残して寅次郎の元を去っていく。
ところが、しばらくして突然とらやを訪れてくるふみが現われる・・・。
「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- ふみ:松坂慶子
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 満男:吉岡秀隆
- 主任:大村崑
- 御前様:笠智衆
- 喜介:芦屋雁之助
<サブキャスト>
正司照江/正司花江/マキノ佐代子/初音礼子/笑福亭松鶴/関敬六/冷泉公裕/斉藤洋介/浮世亭とん平/津嘉山正種/笠井一彦/羽生昭彦/木村賢治/篠原靖夫/入江正夫/小田草之介/加島潤/九十九八十一/東竜司/上野純/団巌/酒井栄子/光映子/秩父晴子/谷よしの/一氏ゆかり/齋藤悦子/水木涼子/伊藤晶子/小川由夏/村上記代
マドンナ:松坂慶子
<役名:浜田ふみ>
大阪で芸者をする女性。広島にある祖母の墓参りをしているところを寅さんと出会う。その時には水商売をしていることを明かさなかったが、大阪で再会した時にバレてしまう。両親はすでに他界しており、幼くして生き別れになった弟・英男を探しに寅さんが付き添ってくれたことにより、二人の関係はより親密になっていく。しばらくして、長崎でお寿司屋をする男性と結婚することを伝えに柴又の「とらや」へ訪問してくる。
松坂慶子は、第46作「男はつらいよ 寅次郎の縁談」で葉子というマドンナ役で再度出演しています。
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ゲスト:芦屋雁之助
<役名:喜介>
大阪の通天閣のそばにある旅館「新世界ホテル」の主人。
母親と同居しながら旅館を経営している。
口は達者だが、いざとなるとはっきりと口に出すことができなくなる性格で、未だに母親に甘える子供のような一面を持つ。
寅次郎とは友達関係であり、「とらやん!」と呼べる仲である。
芦屋雁之助は48作の被災地復興の時の町内会長の肉屋の主人役で登場するが、この役とは別人である。
「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」作品の解説
今作の舞台は浪花。
生まれも育ちも東京の江戸っ子・寅次郎が大阪弁の飛び交う浪花の街に溶け込んでいく。
ゲストに芦屋雁之助、かしまし娘、笑福亭松鶴、大村崑などといった関西人を迎え、江戸っ子・寅次郎がどのように大阪の街に馴染んでいくのかが見どころの一つ。
映画の中で東京と大阪の対比も随所に描かれており、そのあたりも意識して観ると面白いかもしれない。
この作品では、やや家庭的に不幸な生い立ちを持つマドンナ・ふみ(松坂慶子)と寅次郎との恋物語が繊細に描かれる。
そして、この作品から満男役が中村はやと君から吉岡秀隆君へバトンタッチされる。
夢のシーン
浦島寅次郎(寅次郎)が、助けた亀に連れられて竜宮城に行く夢。
パロディ元:伽話「浦島太郎」。
竜宮城の中にピンク色のタコの姿をしたタコ社長が紛れ込んでいる。
乙姫様役に、この回のマドンナとなる浜田ふみ(松坂慶子)が登場しているが、これも予知夢ということになる。
玉手箱の煙を吸って年老いるのは、浦島寅次郎ではなく、助けられた亀吉がなってしまうというオチに。
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映画「男はつらいよ」オープニングの寅さんの夢のシーン全まとめ
江戸っ子・寅次郎が大阪の街に放り出される面白さ
東京では雄弁な寅次郎だが、大阪でもその口のうまさは通用するのか?そんな興味が湧いてくる作品である。
案の定、寅次郎が大阪人の啖呵売の真横で売をし、客を持っていかれて悪戦苦闘するシーンなどが描かれ、大阪の街に圧倒される寅次郎の姿が映し出される。
そして、随所に東京と大阪の違いが描かれているのも面白い。
・時間経過の感覚が遅い
・味付けは濃い味
・恋愛は引き際が肝心
・時間経過の感覚が早い
・味付けは薄味
・恋愛はとことん追いかける
「月日の経つのが早いもんでんな~」とつぶやく喜八の横で、「月日の経つのが遅いなあ~」とつぶやく寅次郎。
そして、ふみと食事をしている時に、ふみ手製の料理にたっぷりの醤油をかけてしまう寅次郎も描かれる。
また、喜八との別れのシーンでは東京人と大阪人の恋愛へのアプローチの仕方の違いも描かれるのだ。
ふみの複雑で、そして謎めいた女性心理!?
この作品に登場するマドンナ・ふみの寅次郎に対する気持ちを読み取ることはとても難しい。
たぶん、この映画を観ている人たちがいろんな解釈ができるようにあえてそんな描き方をしていたのかもしれない。
私が思う、ふみの謎めいた行動は以下。
ふみの謎めいた行動
- 弟が亡くなったことを知った夜に寅次郎の部屋を突然訪れた理由
- 寅次郎に結婚の報告をしに来た理由
弟が亡くなったことを知った夜に寅次郎の部屋を突然訪れた理由
普通に考えたら、何年も会っていない弟に会うきっかけを作り、その弟が亡くなっていたと知った後にも深く寄り添ってくれた寅次郎にふと会いたくなり、ふみは行ってしまったといったところだろう。
しかし、ふみは大阪ミナミの芸者であり、深夜に男の部屋に行くというのはそれなりの覚悟を持っての行動であることは理解していたはず。
つまり、寅次郎の出方によっては男と女の関係になっても構わないといった強い覚悟のもと、寅次郎の部屋に行ったことになる。
だが、寅次郎はそんなふみの覚悟を受け止めることができずに部屋をそっと出て行く。
明け方、ふみの書いた置手紙には寅次郎へのお侘びと、女として見てもらえなかったことへの寂しい想いが綴られていた。
ふみの書いた置手紙の文面
ウチがこの部屋に泊まるのが迷惑だったらそう言ってくれればタクシー拾って帰ったのに。
これからどうして生きていくかひとりで考えていきます。
寅さん、お幸せに。
さようなら ふみ
これは私の勝手な解釈に過ぎないだが、実際にふみはどんな想いで寅次郎の部屋を訪れたのだろうか?
寅次郎に結婚の報告をしに来た理由
あの夜の出来事の後、きっぱりと寅次郎に「さようなら」を告げたはずのふみだったが、なぜわざわざ東京にいる寅次郎に結婚の報告をしに来てしまったのだろうか?
このあたりのふみの心理状態がいまいちよくわからない。
旦那さんとなる誠さんにとらやの電話番号を教えているあたりからも、ここに来るまでにふみの結婚に対する覚悟はすでに固まっていたはずだ。
もし、ふみが寅次郎からの好意に気付いていたとしたら、二階で寅次郎が言っていた「ハガキ一本出せば済むことじゃないか」で済む問題だ。
それをわざわざ寅次郎に結婚の報告をしに来るということは、ふみが寅次郎の好意に全く気付いていない、もしくは薄々気付いてはいるが、実際に会ってもう一度はっきりと寅次郎の気持ちを確認したい、といった思惑もあったのかもしれない。
前者であれば、いたって健全な結婚報告だが、後者はかなり悪女的な行動になっている。
でも、ふみ自身に寅次郎への想いがこの時点でかすかに残っているのであれば十分にあり得る話だし、私はどちらかと言うと後者のパターンが近いような気がしている。
なぜなら、ふみが結婚の報告をする時、また結婚の報告をした後に、寅次郎の顔をうかがうような仕草を何度かしているからだ。
それに、そもそも結婚の報告をするのにふみが気まずい雰囲気になる必要はないはずだ。
もし、ふみがこんな理由で寅次郎に結婚の報告をしに来たとして、寅次郎の落ち込んだ様子を見て、かなりの罪悪感を感じたに違いない。
そして、このふみの罪悪感が後の対馬でのふみの涙に繋がっているような気がする。
このふみの涙は寅次郎がわざわざ対馬まで来てくれたという単純な喜びの涙ではない。
酷い仕打ちをしたにもかかわらず対馬まで会いに来てくれた寅次郎の優しさと懐の深さに対するものだったのだと思う。
「男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎(第27作)」に関するツイートまとめ
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