この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 寅次郎紙風船(第28作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 寅次郎紙風船(第28作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 寅次郎紙風船(第28作)」の作品データ
公開日 | 1981年12月28日 |
上映時間 | 101分 |
マドンナ | 音無美紀子 |
ゲスト | 岸本加世子、小沢昭一、地井武男 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清 製作補佐:佐生哲雄 企画:小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:出川三男 音楽:山本直純 録音:鈴木功 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 スチール:長谷川宗平 監督助手:五十嵐敬司 装置:小島勝男 装飾:町田武 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 進行:玉生久宗 製作主任:峰順一 |
協力 | 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,448,000人(シリーズ34位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「シュンマオ物語タオタオ」 |
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「男はつらいよ 寅次郎紙風船(第28作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 寅次郎紙風船(第28作)」のロケ地「男はつらいよ 寅次郎紙風船(第28作)」作品のあらすじ
久しぶりにとらやへ帰ってきた寅次郎は、母校の柴又小学校の同窓会に参加する。
しかし、かつての同級生たちに煙たがられ、酔い潰れて帰ってきた寅次郎は、とらやまで送ってくれた同級生・安夫(東八郎)にまで暴言を吐き、大ゲンカとなってしまう。
翌朝、寅次郎はお詫びの書置きを残して、ひっそりととらやを出て行ってしまう。
ある日、福岡を旅していた寅次郎は家出中の娘・愛子(岸本加世子)と相部屋で泊まることになる。
はじめは寅次郎を警戒する愛子だったが、いつしか何でも話せる寅次郎に心を開き、しばらく共に旅を続けることになる。
しばらくして寅次郎は久留米水天宮の縁日で売をしていると、テキヤ仲間の常三郎(小沢昭一)の妻・光枝(音無美紀子)と偶然に出会う。
光枝から常三郎が病気であることを聞かされた寅次郎は常三郎の自宅に見舞いに行くが、その時に「オレが死んだらあいつの女房になってくれ」と常三郎からお願いされてしまう。
その時は冗談まじりに承諾する寅次郎だったが、しばらくして常三郎は病死し、葬儀を終えた光枝は寅次郎を頼って東京へ出てくることになる。
「男はつらいよ 寅次郎紙風船(第28作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 光枝:音無美紀子
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 満男:吉岡秀隆
- 棟梁・茂:犬塚弘
- 柳:前田武彦
- 安夫:東八郎
- 健吉:地井武男
- 御前様:笠智衆
- 常三郎:小沢昭一
- 愛子:岸本加世子
<サブキャスト>
関敬六/小桜京子/高橋基子/杉山とく子/笠井一彦/羽生昭彦/木村賢治/篠原靖夫/金岡秀秋/志馬琢哉/俵一/山岡甲/松谷たくみ/小川由夏/酒井栄子/秩父晴子/谷よしの/斎藤由美/河野登志美/長岡恵利子/
マドンナ:音無美紀子
<役名:倉富光枝>
テキヤ仲間カラスの常三郎の妻。久留米水天宮の縁日で知り合う。病気になった常三郎の見舞いに行き、「亡き後に女房を頼む」という常三郎の願いを冗談半分で聞き入れるが、実は医者から余命宣告されていることを光枝から聞かされる。常三郎の死後、寅さんをを当てにして東京へ出てくるが、寅さんに自分と所帯を持ってくれることはないと確認すると、実家へと帰っていってしまう。
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ゲスト:岸本加世子
<役名:小田島愛子>
静岡県焼津出身の家出少女。
高校に通っていたが、退学してしまう。
マグロ船で働く、腹違いの兄がいる。
父親は他界し、50歳になる母親と同居していたが、頻繁に男を連れ込む母親に反発し、家出をしてしまう。
寅次郎とは福岡の旅館で知り合い、身内のように心配してくれる寅次郎にくっついて、しばらく一緒に旅を続ける。
ゲスト:小沢昭一
<役名:倉富常三郎>
寅次郎のテキヤ仲間で、あだ名はカラスの常。
かつて博多の料理屋で仲居をやっていた光枝と知り合い、小倉のケン坊との三角関係の末に光枝と結婚する。
だが、酒と博打好きの道楽生活が祟って病気になり、光枝を残して病死してしまう。
ゲスト:地井武男
<役名:小田島健吉>
愛子の腹違いの兄。
愛子の学費を稼ぐために遠洋漁業のマグロ船で働いている。
外洋中に愛子からの手紙が途絶え、心配して「とらや」を訪れてくる。
気性は荒いが、妹想いの優しい兄貴。
「男はつらいよ 寅次郎紙風船(第28作)」作品の解説
晩秋に向かう福岡を舞台に、寅次郎と余命宣告された夫を持つマドンナとの関係が描かれる。
今回は、マドンナとの「恋愛」を描くというよりも、「結婚」を前提にして始まっていく、やや窮屈な二人の関係を描く。
そして、サブで展開されるのが寅次郎とさくらとの関係に似た、愛子と腹違いの兄・健吉との兄妹愛である。
全体的に哀愁の漂う、やや暗い印象の残る作品だが、「結婚」という形に押しつぶされそうになる寅次郎とマドンナ・光枝との微妙な関係性が見どころになるかもしれない。
夢のシーン
ノーベル医学賞を受賞した車寅次郎博士(寅次郎)が、学生時代の恋人と遭遇し、その子供を救うために手術を決行する夢。
かつての恋人がなぜか今作に登場するマドンナ・光枝(音無美紀子)になっている。
これもまだ会っていない女性が夢の中に登場している。
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「恋愛」からではなく「結婚」を前提に始まっていく寅次郎と光枝の関係
今回の寅次郎とマドンナ・光枝との関係は、シリーズ中で最も「恋愛」をしていないカップルだったのかもしれない。
どちらかというと、常三郎に「俺が死んだら女房を頼む」と言われたことにより、寅次郎が光枝のことをはじめから結婚相手として見るところから始まっていく。
つまり、「恋愛」の状態になりうる前から「結婚」を強いられた関係で始まっていくのだ。
これだと恋愛感情の入るすき間すらなく、「結婚」という形だけに収まろうとする関係性に近い。
これは、光枝のほうでも同じである。
「俺が死んだら寅の女房になれ、寅にもそう話してあるから」と常三郎に言われたことにより、光枝にとっても「結婚」を前提として始めさせられる関係である。
そして、お互いが「結婚」を意識させられたことによって、気まずく、どこかぎこちない関係になってしまうのだ。
その空気感は二人が別れる柴又駅でのシーンに露骨に漂う。
このように、「恋愛」からではなく「結婚」を前提に始まっていく寅次郎とマドンナの関係は今までの寅さんシリーズではなかった描き方だったかもしれない。
二つの兄妹の物語
もう一つ、この作品の見どころを挙げるとしたら、愛子と健吉の兄妹の温かい絆を描いた物語だろう。
二人は腹違いの兄妹であり、父親が他界している家族構成からも、寅次郎とさくらの関係性にとてもよく似ている。
旅先で愛子が寅次郎にくっついていったこと、寅次郎がそれを受け入れてしまったのにも、お互いで境遇の似た何かを感じ取ったからなのだろう。
ラストの焼津港での兄同士の対面も何か温かい気持ちにさせられる。
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