この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)」の作品データ
公開日 | 1984年12月28日 |
上映時間 | 105分 |
マドンナ | 大原麗子 |
ゲスト | 米倉斉加年/風見章子/津島恵子/辰巳柳太郎 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清/中川滋弘 企画:小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:出川三男 音楽:山本直純 録音:鈴木功 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 スチール:長谷川宗平 監督助手:五十嵐敬司 装置:小島勝男 装飾:町田武 衣装:松竹衣装 美粧:宮沢兼子 現像:東京現像所 進行:玉生久宗 製作主任:峰順一 |
協力 | 東亜国内航空 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,448,000人(シリーズ歴代35位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「ねずみ小僧怪盗伝」 |
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「男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)」のロケ地「男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)」作品のあらすじ
久しぶりにとらやに帰ってきた寅次郎は、娘・あけみ(美保純)の夫婦問題でもめるタコ社長の間に入って親子喧嘩を止めようとするが、なぜか柴又中を巻き込む大騒動にしてしまう。
御前様に叱られた寅次郎は憂さ晴らしに上野の飲み屋へ行くが、そこでエリート証券マンの富永(米倉斉加年)と出会う。
そして、寅次郎は飲み代の足りない分を富永に支払ってもらう。
後日、お礼のために富永と一緒に飲みに出かける寅次郎であったが、酔い潰れてしまい、牛久沼にある富永の自宅に転がり込んでしまう。
そこで富永の妻・ふじ子(大原麗子)と出会った寅次郎は、ふじ子の美貌にときめく。
しばらくして再び富永の自宅を訪問する寅次郎だったが、ふじ子から富永が失踪したという出来事を聞いて驚く。
故郷・鹿児島県で富永を見たという目撃情報を頼りに、鹿児島へ向かうふじ子と寅次郎。
ところが、寅次郎は富永を探しながら、ふと自分の目的が富永を見つけることではなく、ふじ子と一緒にいたいという気持ちであることに気付いて恐怖を感じるようになる。
「男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 満男:吉岡秀隆
- あけみ:美保純
- 健吉:米倉斉加年
- 御前様:笠智衆
- 進介:辰巳柳太郎
- ふじ子:大原麗子
<サブキャスト>
津島恵子/風見章子/関敬六/桜井センリ/アパッチ・けん/津嘉山正種/芦田友秀/マキノ佐代子/伊東さゆり/岩渕菜穂/川井みどり/谷よしの/戸川美子/加藤潤/笠井一彦
マドンナ:大原麗子
<役名:富永ふじ子>
東京で働く証券マン・富永健吉(米倉斉加年)の妻。健吉が自然に囲まれて暮らしたいという理由で茨城県の牛久沼に家を買い、ふじ子と息子一人の三人家族で暮らしている。寅さんとは酔っぱらって健吉の自宅に招かれた時に出会う。ある日、多忙に働く健吉が失踪し、ふじ子は寅さんと共に順吉の故郷・鹿児島へと向かう。しかし、寅さんは順吉を探していくうちに、心の中で順吉が戻ってこないことを望んでいる自分に気付き、悩むことになる。いつしか失踪中の健吉が寅さんの元を訪ねてきて、寅さんは急いでふじ子の自宅へ健吉を連れて帰る。
大原麗子さんは、第22作「男はつらいよ 噂の寅次郎」で水野早苗というマドンナ役でも出演しています。
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ゲスト:米倉斉加年
<役名:富永健吉>
東京の日本橋にあるスタンダード証券で課長を務めるエリートサラリーマン。
三年前までは公団住宅に住んでいたが、マイホームを持ちたいという思いから茨城県牛久沼に移住し、ふじ子と一人息子の三人で暮らしている。
寅さんとは上野の焼き鳥屋で知り合い、寅さんの払えなかった飲み代を全額支払ったことで親密な関係になっていく。
連日の激務からくるストレスによって精神を病み、突然失踪してしまう。
米倉斉加年さんは、第10作目の時にマドンナ・お千代さん(八千草薫)に惚れてしまう大学教授、その他、柴又派出所のお巡りさん役で度々出演している。
ゲスト:風見章子
<役名:和代>
ふじ子の母親。
ふじ子が鹿児島で目撃された健吉の捜索に行く時に、牛久沼の自宅の留守番のために訪れてくる。
風見章子さんは、第2作「続・男はつらいよ」の時に寅次郎が母親・お菊だと勘違いするグランドホテルの従業員・お澄さん役で出演している。
ゲスト:津島恵子
<役名:静子>
鹿児島県枕崎にある健吉の実家に住む健吉の姉。
ゲスト:辰巳柳太郎
<役名:進介>
鹿児島県枕崎にある健吉の実家に住む健吉の父親。
寅次郎が会社の部長であることを知ると、突然発狂して寅次郎と息子の区別が付かなくなり、長刀や刀を振り回して寅次郎を追いかけようとする。
「男はつらいよ 寅次郎真実一路(第34作)」作品の解説
今回の舞台は桜島のある鹿児島県。
今作は、寅次郎が人妻であるマドンナにのめりこんでいく自分の恐ろしさに気付き、良心の呵責に苛まれる物語である。
そんな寅次郎を惑わすマドンナを演じるのが、今回でシリーズ二回目のマドンナ役となる大原麗子。
一回目マドンナ役として登場した第22作の時と比べると、より大人の色気と妖艶さが増して、観ている側も寅次郎と同じ気持ちにさせられてしまう。
この作品のサブタイトルになっている「真実一路」は、北原白秋の「巡礼」の詩、山本有三の小説「真実一路」と絡んでおり、まさにこの作品で描かれる寅次郎を暗示しているかのような展開となる。
夢のシーン
筑波山で隠居している車寅次郎博士(寅次郎)が、日本で暴れまわる怪獣ギララを始末する夢。
パロディ元は、1967年に公開された松竹の映画「宇宙大怪獣ギララ」。
タコ社長が内閣総理大臣、源公が官房長官という、ありえない配役が面白い。
当時、三菱・ミラージュのテレビCMに登場したのがきっかけで大ブレイクした「エリマキトカゲ」というキーワードも登場する。
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人妻に恋し、自分の醜さを露呈させられ苦しむ寅次郎
この作品では寅次郎が道ならぬ恋と知りつつも、人妻・ふじ子に恋をし、そして心のどこかで蒸発した健吉が戻ってこないことを望んでしまっている自分に気付く。
ましてや健吉は寅次郎の友人に近いほどの親しい間柄であり、余計に罪の重さを感じてしまうことになる。
シリーズ初期の寅次郎であるならば、こんな複雑な心境になることもなかったろうし、またそれ自体に気付くこともなかったのかもしれない。
シリーズも後半になってくると、寅次郎の人間的な成長が感じられるようになっていく。
そして、そんな自分の煩悩に打ちのめされたはずの寅次郎であったが、突然とらやに現れた健吉を見て、また自分の中に隠れていた煩悩を出してしまう。
なんと、戻ってきた健吉の姿を見てがっかりした表情を見せてしまうのだ。
寅次郎自身はおそらくこの煩悩に気付いていないだろう。
だが、観ているわれわれにとっては意志とは関係ないところで巣食う人間の煩悩の恐ろしさを見せつけられている気になる。
寅次郎とポンシュウの痛快なラストシーン
この作品の素晴らしいところをもう一つ挙げるとすれば、廃線となった線路の上を歩く寅次郎とポンシュウの痛快なラストシーンだろう。
まるで少年に戻ったかのような雰囲気で線路の上を歩いていく二人。
このシーンを観る度に、映画「スタンドバイミー」を連想させられてしまう。
寅次郎演じる渥美清とポンシュウ演じる関敬六は、浅草フランス座時代の親友同士。
そして、今、天国にいる二人はきっとこんな感じで楽しそうに暮しているのではないかと思ってしまう。
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