この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)」の作品データ
公開日 | 1985年8月3日 |
上映時間 | 108分 |
マドンナ | 樋口可南子 |
ゲスト | 平田満/松村達雄 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清/中川滋弘 企画:小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:出川三男 音楽:山本直純 録音:鈴木功 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 スチール:長谷川宗平 監督助手:五十嵐敬司 装置:小島勝男 装飾:町田武 美粧:宮沢兼子 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 進行:玉生久宗 製作主任:峰順一 |
協力 | 秋田県鹿角市 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,379,000人(シリーズ歴代41位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「おら東京さ行ぐだ」 |
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「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)」のロケ地「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)」作品のあらすじ
長崎の五島を旅する寅次郎とポンシュウは、一人暮らしをするお婆ちゃん(初井言榮)と知り合い、そのお婆ちゃんの家に泊めてもらう。
お婆ちゃんと共に三人で宴会をして楽しい夜を過ごすが、その晩、突然にお婆ちゃんの具合が悪くなり、そのまま帰らぬ人になってしまう。
寅次郎とポンシュウはお婆ちゃんの葬儀に参加し、そこで東京に住むお婆ちゃんの孫娘・若菜(樋口可南子)と出会うが、ヤクザ家業の男が長くいるようなところじゃないと判断した寅次郎たちは葬儀の途中に退出していく。
しばらくして、東京に戻った寅次郎は若菜からのお礼状が届いていることを知り、さっそく若菜の住むアパートへ向かう。
ところが、そのアパートに住む民夫(平田満)という男が若菜に恋をしていることを知った寅次郎は、何とか若菜とうまくいくようにと民夫の恋の指南役を買って出る。
寅次郎が計画したデートプランをうまくこなしていく民夫であったが、招き入れられた若菜の部屋で睡魔に襲われ、そのまま朝まで一人で眠り込んでしまう。
そのことで寅次郎に激怒された民夫は自分の犯した過ちに気付き、絶望し、故郷の秋田に向かい、そこで自殺を図ろうとするが・・・。
「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 酒田民夫:平田満
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 満男:吉岡秀隆
- あけみ:美保純
- 教授:松村達雄
- 御前様:笠智衆
- 江上若菜:樋口可南子
<サブキャスト>
関敬六/梅津栄/園田裕久/築地文夫/丹羽勝海/杉山とく子/初井言榮/田中世津子/藤川洋子/笠井一彦/島田順司/志馬琢哉/竹村晴彦/谷よしの/戸川美子/川井みどり/マキノ佐代子/丸山繁雄酔狂座/
マドンナ:樋口可南子
<役名:江上若菜>
東京で写植オペレーターをしている女性。長崎県上五島出身で、幼い時に母親に死なれてしまい祖母に育てられる。寅さんとは祖母の葬儀が行われた長崎で出会う。しばらくして東京で再会した寅さんと若菜は親しい間柄になっていくが、若菜の住むアパートにいる民夫(平田満)が若菜に惚れていることを知った寅さんは二人の恋愛成就のために一肌脱ぐことになる。
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ゲスト:平田満
<役名:酒田民夫>
秋田県出身で司法試験の合格を目指して勉学に励む青年。
若菜と同じアパート「コーポ富士見」に住み、密かに若菜に想いを寄せている。
寅次郎とはコーポ富士見で出会い、若菜に恋をしていることを見破られてしまい、恋愛コーチを受けることになる。
ゲスト:松村達雄
<役名:牛山教授>
東京大学の民夫の恩師。
恋をして勉強が手に付かない民夫の相談を受けるが、恋は時間の無駄だからやめなさい、と冷たく突っぱねる。
だが、民夫が失踪したことを知ると民夫の故郷にまで出向き、必死になって探し回ってくれる。
「男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(第35作)」作品の解説
第30作以来の寅次郎の恋愛指南編。
同じアパートに住むマドンナ・若菜に想いを寄せる法曹目指す青年・民夫のために寅次郎が一肌脱ぐ。
今作の面白いのは、民夫の一方的な片想いと思いきや、密かに若菜のほうでも民夫に好意を持ってたのがわかるところ。
そして、恋愛に関する男女の感覚のズレや、思い込みの違いが描かれているところも非常に興味深い。
また、民夫の恩師役として登場する松村達雄さんと、民夫のアパートの大家さん役の杉山とく子さんの面白い絡みも見どころの一つだ。
今作は長崎県の五島から始まり、秋田県の鹿角へとロケが進んでいく。
夢のシーン
寅吉(寅次郎)が、おじい(おいちゃん)とおばあ(おばちゃん)を姥捨山(うばすてやま)に連れていこうとする夢。
おばちゃんが重くて持ち上げられなくなってしまうというオチで目が覚める。
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寅次郎の恋愛指南再び
シリーズ中に寅次郎が恋愛指南に回る作品は何度かあったが、今作は寅次郎がマドンナから完全撤退して恋愛指南に回っているのが特徴的だ。
最初は若菜にかすかな恋心を抱く寅次郎だったが、若菜が一年半も前から民夫からの恋心を察知していたことを知り、寅次郎は若菜から完全に手を引くことを決断する。
寅次郎はデートプランから若菜の部屋に招かれるまでの注意点を細かく民生に教え込むが、民生は若菜の部屋で眠りこけるという失態をさらしてしまう。
その失態を寅次郎に責められた民生は自殺を図ろうと秋田まで行ってしまうが、実は若菜にとってはそれほど重大な受け取り方をしていないということに後から気付く。
要するに、民夫と若菜は始めから相思相愛の関係であり、民夫が想いを伝えられるかどうかの問題だったということだ。
結局、寅次郎の出る幕ではなかったわけだが、それでも民夫と若菜を近付けるきっかけを作ったのは寅次郎だったのかもしれない。
男女の感覚のズレや思い込みの違い
この作品で面白いと思ったのは、男女の感覚のズレや思い込みの違いについて的確に描いていたところ。
若菜とさくらは女性視点から男性の行動と気持ちの食い違いについて語り合うシーンがある。
それは柴又駅のホームで、若菜が民生について語るセリフだ。
さくら「・・・」
若菜「男の人ってそういう顔することあるでしょう」
さくら「そうね、気持ちの中はとっても優しいんだけど、顔に出せないのね・・・わかるわ、その気持ち」
寅次郎や民生が考えてる以上に、女性は男性をしっかりと理解しているのがわかるシーンだ。
そして、民生が若菜の部屋で眠りこけてしまった失態についても、さくらは女性目線で以下のようなセリフで男性側の思い込みについて言及している。
民生「いいえ、寅さんの言う通りです」
さくら「そんなことないと思う。女ってね、男の人が思うのとは全然別な受け取り方をするものよ、希望を持っても大丈夫よ」
このさくらのセリフを聞くと、男性が女性の部屋で眠りこけてしまうことを失態と思う必要はない気になってくる。
そして、「女として全然魅力がない」と思い込ませているのは男性側の勝手な解釈であるようにも思えてくる。
このあたりの男女の感覚のズレや思い込みの違いについて、この作品ではうまく描かれている。
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