この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 知床慕情(第38作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 知床慕情(第38作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 知床慕情(第38作)」の作品データ
公開日 | 1987年8月5日 |
上映時間 | 107分 |
マドンナ | 竹下景子 |
ゲスト | 三船敏郎/淡路恵子 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清 企画:小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:出川三男 音楽:山本直純 録音:鈴木功 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 スチール:長谷川宗平 監督助手:五十嵐敬司 装置:小島勝男 装飾:町田武 美粧:宮沢兼子 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 進行:副田稔/玉生久宗 製作主任:峰順一 |
協力 | 北海道(斜里町、羅臼町、中標津町) 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
挿入歌 | 知床旅情(作詞・作曲:森繁久彌) |
観客動員数 | 2,074,000人(シリーズ歴代11位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「塀の中の懲りない面々」 |
啖呵売した商品 | 絵画(ゴッホ) ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
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「男はつらいよ 知床慕情(第38作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 知床慕情(第38作)」のロケ地「男はつらいよ 知床慕情(第38作)」作品のあらすじ
久しぶりにとらやに帰省した寅次郎は、おいちゃんが入院していることを知り、そのまま病院へ見舞いに行く。
おいちゃん不在のとらやを支えようと帳場に座る寅次郎であったが、何の役にも立たないと、とらやの人たちにからかわれてご立腹。
寅次郎は店を飛び出して、そのまま旅に出てしまう。
しばらくして北海道を旅する寅次郎は獣医をしている順吉(三船敏郎)と出会い、家に招かれて意気投合する。
そこでしばらく滞在することになった寅次郎は、東京から帰省してきた順吉の娘・りん子(竹下景子)とも出会う。
りん子が離婚したことを知って怒る順吉をなだめ、寅次郎はより順吉やはまなすのママ・悦子(淡路恵子)たちと親密になっていく。
ある日、順吉が悦子に惚れていることを知った寅次郎は、バーベキューで順吉をけしかけて悦子への想いを伝えさせようと試みるが・・・。
「男はつらいよ 知床慕情(第38作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- りん子:竹下景子
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 満男:吉岡秀隆
- 船長:すまけい
- あけみ:美保純
- 御前様:笠智衆
- 悦子:淡路恵子
- 上野順吉:三船敏郎
<サブキャスト>
関敬六/イッセー尾形/笹野高史/冷泉公裕/赤塚真人/油井昌由樹/坂本長利/笠井一彦/マキノ佐代子/川井みどり/石川るみ子/天野立子/篠原靖治/小原忍/
マドンナ:竹下景子
<役名:上野りん子>
北海道知床で獣医をする順吉(三船敏郎)の娘。結婚して東京で暮らしていたが、うまくいかなくなって離婚し、故郷懐かしさに順吉の元へ帰ってくる。寅さんとは順吉の実家で出会う。寅さんがコミュニケーションのとれない順吉とりん子の間に入ってうまくバランスを取っていく。そして、寅さんのけしかけによって順吉がはまなすのママ悦子(淡路恵子)と結婚し、りん子の寅さんに対する感謝の気持ちが強くなっていく。ところが、酒の席で放った船長の「りん子ちゃんに惚れてるんでねえのか?」という言葉が原因で寅さんはりん子の元を去っていくことになる。
竹下景子は、第32作「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」で石橋朋子、第41作「男はつらいよ 寅次郎心の旅路」で江上久美子というマドンナ役で再度出演しています。
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ゲスト:三船敏郎
<役名:上野順吉>
知床で獣医をする男やもめ。
今回のマドンナ・りん子(竹下景子)の父親。
頑固一徹で融通が利かないが、一人娘のりん子をとても心配している。
寅次郎とは北海道斜里町で偶然に出会い、宿屋のある場所までと言われて車に乗せる。
密かに近所のスナックで働くママ・悦子(淡路恵子)に好意を持っているが言い出せず、悦子が新潟へ引っ越すことを機に想いをぶつけることになる
ゲスト:淡路恵子
<役名:悦子>
知床の「スナックはまなす」で働く、雇われママ。
寅次郎とは順吉の自宅を訪問している時に出会う。
スナックの売上が悪く、オーナーが店を売ってしまい、「スナックはまなす」で働けなくなることを考え、妹がいる新潟へ移り住むことを計画している。
「男はつらいよ 知床慕情(第38作)」作品の解説
第32作「口笛を吹く寅次郎」でマドンナ・朋子を演じた竹下景子が今度は北海道知床生まれのマドンナ・りん子として登場する作品。
そんなりん子を男やもめで育てた頑固者の父親・順吉役として”世界のミフネ”こと三船敏郎が熱演する。
東京へ嫁に行くも離婚し、北海道へとんぼ返りしてくる娘・りん子と、それを叱ることしかできない不器用な父親・順吉との親子の物語を中心に、知床に住む仲間たちとの交流、そして順吉の結婚に至るまでの物語が展開されていく。
今作の見どころは、マドンナの父親・順吉演じる三船敏郎の決死とも言える勇気あるプロポーズシーンである。
山田洋次監督曰く、「世界のミフネにプロポーズさせたかった」とあるように、野良犬や用心棒の三船の男くさいイメージを崩すような演技をさせているのも注目したいところ。
今作もまた寅次郎の恋愛がメインではなく、マドンナの父親・順吉とスナックのママ・悦子(淡路恵子)との老いらくの恋の物語がベースになっている。
あとは北海道知床の大自然が存分に楽しめるのも、この作品ならではの特徴と言えるだろう。
竹下景子が二回目のマドンナ役として再登場
第32作「口笛を吹く寅次郎」で寺の住職の娘・朋子を演じた竹下景子が今度は北海道知床生まれのマドンナ・りん子役として再登場する。
竹下景子は、この男はつらいよシリーズで三度、別のマドンナ役で登場してくるが、この作品はその二回目のマドンナ役である。
今回もまた出戻りのマドンナ役になるが、東京から地元にとんぼ返りし、そこで安住していくと思いきや、再び東京の生活に戻っていく自立した女性として描かれる。
そして、順吉とスナックのママとの老いらくの恋の物語がベースになっているので寅次郎との恋愛は少し淡白な印象になっているのも否めない。
自信ありげに順吉に恋のアドバイスをするものの、いざ自分の身になった時にその場から逃げ出してしまうという寅次郎のオチは今作でも描かれる。
三船敏郎と渥美清の夢の競演
今作は三船敏郎の愛の告白シーンも魅力だが、やはり黒沢映画の顔・三船敏郎と渥美清の共演が見物だろう。
そして、三船敏郎演じる順吉のプロポーズを受ける相手が、これまた大御所女優・淡路恵子となれば余計に見どころ満載である。
映画「七人の侍」の頃のギラギラした三船のイメージはなくなったが、どっしりと構える三船に物怖じせずにからかうように絡んでいく渥美清がとても愉快。
「おじさん、八つ当たりはよしな、みっともない」と説教をしてみたり、「勇気を出して言え!今言わなかったらな、一生死ぬまで言えないぞ!」と上から目線でアドバイスをしてみたり、役柄で言っているのを忘れてしまうほど、この二人の絡みはとても面白く見えてしまう。
七人の侍と言えば、過去に志村喬や宮口精二といった大物俳優たちもこのシリーズに登場していたが、その時に絡んだ面白さととてもよく似ている。
車寅次郎に飲み込まれていく大物俳優たちの演技も、この寅さんシリーズの魅力と言えるだろう。
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