この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)」の作品データ
公開日 | 1989年12月27日 |
上映時間 | 108分 |
マドンナ | 檀ふみ/後藤久美子 |
ゲスト | 今福将雄/夏木マリ/尾藤イサオ |
監督 | 山田洋次 |
原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:内藤誠 プロデューサー:島津清 企画:小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:出川三男 音楽:山本直純 録音:鈴木功 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 スチール:金田正 進行:副田稔 監督助手:五十嵐敬司 装置:森篤信 装飾:露木幸次 美粧:宮沢兼子 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 製作担当:峰順一 |
協力 | 佐賀県 佐賀県観光連盟 |
宣伝・撮影協力 | シネマ倶楽部富士 柴又新明会 本田技研工業(株) |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,900,000人(シリーズ歴代17位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「釣りバカ日誌2」 |
啖呵売した商品 | 易本(暦本・人相・手相) ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
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「男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)」のロケ地情報
「男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)」のロケ地「男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)」作品のあらすじ
さくらの息子・満男が大学受験に失敗し、浪人生となる。
満男が恋の悩みを抱えていると感じたさくらは、久しぶりに帰省した寅次郎に話を聞いてもらうようにお願いする。
満男が高校時代の後輩の泉(後藤久美子)に恋をしていることを知った寅次郎は酒の飲み方を教えながら相談に乗るが、満男をベロベロに酔わせてしまったために博たちと大ゲンカとなり、翌朝また旅に出てしまう。
しばらく予備校に通う満男だったが、名古屋に住む泉に会いたいという思いが募り、オートバイに乗って泉に会いに行ってしまう。
ところが、泉が叔母の住む佐賀県にいることを母親の礼子(夏木マリ)から聞いた満男はそのままオートバイに乗って佐賀県に向かうことになる。
ホモライダー(笹野高史)に襲われそうになりながらも、何とか泉に会えた満男は近くの旅館に相部屋として泊めてもらおうとするが、その相部屋は何と伯父の寅次郎の部屋だった。
そこでまた寅次郎からいろいろアドバイスを受ける満男は、もうしばらく泉の傍にいることを決める。
ところがある日、夜遅くまで泉を連れ回してしまった満男は、泉の伯父・嘉一(尾藤イサオ)に厳しく叱られてしまう。
「男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 寿子:檀ふみ
- 満男:吉岡秀隆
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 御前様:笠智衆
- 奥村:今福将雄
- 嘉一:尾藤イサオ
- 礼子:夏木マリ
- 及川泉:後藤久美子
<サブキャスト>
石井均/イッセー尾形/笹野高史/関敬六/戸川純/田中世津子/武野功雄/不破万作/じん弘/笠井一彦/マキノ佐代子/北山雅康/篠原靖治/田中リカ/川井みどり/佐久間哲/古本新之輔/
寅さんのマドンナ:檀ふみ
<役名:奥村寿子>
満男のマドンナ・及川泉の親戚の奥さん。泉が住む佐賀県まで会いに来た満男の付き添い役として訪問した寅さんと遭遇する。厳格な教師である夫とは違い、おおらかで物腰が柔らかく女性。別れ際に満男のことで不快な気持ちにさせられた寅さんを優しく送り出してくれる。
檀ふみは、18作「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」のマドンナ・柳生綾(京マチ子)の娘役としても出演している。
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満男のマドンナ:後藤久美子
<役名:及川泉>
満男の高校時代の後輩で及川礼子(夏木マリ)の娘。父親は礼子と別居しており、泉は母親と共に生活している。満男とは学校の吹奏楽部に所属していた時に出会う。両親の都合によってかき乱される泉を満男が気にかけてあげることで親密度が増していく。48作目にしてやっと満男に愛の告白をされるが、二人は結婚までに至らず。50作では海外の男性と結婚してイズミ・ブルーナという名前に変わっている。
及川泉役として4回(第42作、第43作、第44作、第45作、第50作)マドンナを演じる。
満男の恋愛にシフトしていく「男はつらいよ」シリーズの最後のほうで登場する満男にとってのマドンナ。
ゲスト:今福将雄
<役名:奥村>
泉の叔母・寿子(檀ふみ)の義理の父親。
寅次郎とは、満男の付き添いで寿子の家を訪れた時に出会う。
歴史好きで、幕末佐賀藩の歴史、有田焼、古伊万里の歴史、葉隠れの歴史などを素直に聞いてくれる寅次郎に好意も持ち、吉野ヶ里遺跡へも招待してしまう。
ゲスト:夏木マリ
<役名:及川礼子>
泉の実の母親。
名古屋でクラブを経営しているが、泉との親子関係がうまくいっておらず、別々に暮している。
及川礼子は、次の作品「男はつらいよ 寅次郎の休日」で寅次郎のマドンナ役で登場することになる。
ゲスト:尾藤イサオ
<役名:奥村嘉一>
寿子(檀ふみ)の夫で、泉の義理の父。
教育熱心な高校教師で、浪人生という立場で泉に会いに来る満男をあまり良く思っていない。
「男はつらいよ ぼくの伯父さん(第42作)」作品の解説
この作品から寅次郎の甥・満男が主軸となるストーリーが展開されるようになる。
今作の見どころは、1作目で赤ん坊として登場したさくらの息子・満男が思春期を迎え、恋をする物語が描かれるところ。
そして、そんな恋する満男をしっかりと見守り、サポートに回る寅次郎が何とも頼もしく見える。
いわゆる「満男編」の始まりとなる作品で、満男と泉の恋愛物語の原点がここにある。
泉役をこなすのは当時の国民的美少女・後藤久美子。
今作から寅次郎と満男の恋愛物語二本立てとして描かれるようになっていくが、今回の寅次郎の恋物語はほぼないと言ってもいいかもしれない。
ひたすら満男のために恋のサポートに回る寅次郎が描かれる。
とは言っても寅次郎の出番もまだまだ多く、随所に笑わせてくれるシーンはたくさんある。
この作品から寅次郎と満男の絆がどんどん深まっていくことになるが、そのきっかけとなる作品であったとも言える。
寅次郎の甥・満男が主軸となるストーリーの第1作目の作品
さくらの一人息子である満男が思春期を迎え、同じ高校の後輩の泉に恋をするいう物語。
満男と泉の恋物語はここからシリーズの最後の作品まで描かれるが、これが第1作目の記念すべき作品となる。
泉への想いが抑えられなくなり、親に内緒でオートバイに乗って東京から佐賀まで行ってしまう満男の行動はまさに青春そのものである。
この作品で満男と泉の関係がそんなに進展するわけではないが、この作品後から少しずつ二人の距離が縮まっていくようになる。
寅次郎と満男の絆の物語も始まっていく
今までたくさんのマドンナたちと恋をし、様々な人生経験を積んできた寅次郎が今度はその経験を活かし、若き満男を一端の大人へと成長させていくのがこの作品からの見どころである。
シリーズ第1作目で赤ん坊として登場した満男から約20年という歳月が流れてのこの作品。
それだけで感慨深い気持ちにさせられてしまう。
寅次郎が満男に教えられるものは勉学ではなく、恋の駆け引き、女性心理、酒の飲み方といった処世術がメインだが、少しずつ満男を大人へと変えていくのだ。
そして、この作品は寅次郎の満男への愛情の深さが強く感じられるものになっている。
ある夜、満男は泉を連れまわしてしまい、泉の叔父に厳しく叱られてしまう。
それが原因で、泉の叔父は寅次郎に満男への教育をしっかりするように言われてしまう。
ところが、寅次郎は泉の叔父に対する満男への非難を受け止めた上で満男の正しさもしっかりと主張するのだ。
「私のようなできそこないが、こんなことを言うと笑われるかもしれませんが、私は甥の満男は間違ったことをしていないと思います。
慣れない土地へ来て、さみしい思いをしているお嬢さんを慰めようと、両親にも内緒ではるばるオートバイでやって来た満男を私はむしろ”よくやった”と褒めてやりたいと思います」
今までたくさんのマドンナにしてきた寅次郎自身の行動と満男が泉にした行動とがきっと重なったために発せられた言葉だったのかもしれない。
寅次郎はしっかりと満男のことを評価している。
また、寅次郎は満男の迷惑行為の数々を詫びるために、わざわざ泉の通う高校まで足を運んでいる。
このシーンも寅次郎の満男への愛情の深さが感じられる。
このように、この作品を機に寅次郎と満男は少しずつ絆を深めていくようになるのだ。
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