この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)」の作品データ
公開日 | 1992年12月26日 |
上映時間 | 101分 |
マドンナ | 風吹ジュン/後藤久美子 |
ゲスト | 永瀬正敏 |
監督 | 山田洋次 |
原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:中川滋弘 プロデューサー:島津清/深澤宏 企画:小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫/花田三史 音楽:山本直純 美術:出川三男 照明:青木好文 編集:石井巌 録音:鈴木功 調音:松本隆司 スチール:金田正 進行:副田稔 製作担当:峰順一 装置:森篤信 装飾:露木幸次 美粧:宮沢兼子 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 監督助手:阿部勉 撮影助手:池谷秀行 録音助手:原田真一 照明助手:藤田繁夫 編集助手:石島秀 美術助手:加藤史子 語り:神田山裕 ステディカムオペレーター:佐光朗 理髪指導:小泉信二 凝斗:インフィニティプロモーション |
協力 | 宮崎県日南市 |
製作協力 | 柴又新明会 全日空 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 2,000,000人(シリーズ歴代13位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「釣りバカ日誌5」 |
啖呵売した商品 | 貯金箱、牛皮財布、高級バッグ ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
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「男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)」のロケ地「男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)」作品のあらすじ
東京で就職できた泉と満男は休日に家に招待するなどしながらより親密な関係を築いていた。
一方、寅次郎は宮崎県で髪結いの女・蝶子(風吹ジュン)と出会い、雨宿りのつもりでおいてもらった理髪店に居座ってしまう。
ある日、寅次郎は蝶子と共に観光に来ていた飫肥城址で、たまたま友人の結婚式で宮崎に来ていた泉と再会する。
蝶子と泉が鉢合わせとなってしまい、寅次郎は自分の元から去ろうとする二人を呼び止めようとした瞬間に階段から足を踏み外し、ケガをしてしまう。
泉からの電話で宮崎に飛んでくる満男。
泉の傍らにいた蝶子の弟・竜介(永瀬正敏)に嫉妬して不機嫌になるが、竜介に婚約者がいることを知って一安心する満男。
ある朝、「寅さんと一緒になったらどうね?」と姉に言っている竜介の言葉を聞いてしまった寅次郎は、またお決まりの行動に出てしまう・・・。
「男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 蝶子:風吹ジュン
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- 御前様:笠智衆
- 竜介:永瀬正敏
- 礼子:夏木マリ
- 満男:吉岡秀隆
- 及川泉:後藤久美子
<サブキャスト>
関敬六/笠井一彦/赤塚真人/田山涼成/櫻井センリ/マキノ佐代子/北山雅康/古本新之輔/白鳥勇人/西尾まり/大江泰子/野崎直子/
寅さんのマドンナ:風吹ジュン
<役名:蝶子>
宮崎県油津で理髪店を営む女性。昼休みをしていた喫茶店で寅さんと出会う。寅さんは散髪してもらった後、雨が降ってきたことによりしばらく蝶子の自宅で長居することになる寅さん。寅さんのケガをきっかけにして滞在期間が余計に伸びるが、突然帰ると寅さんに告げられたことに蝶子は腹を立ててしまい、そのまま別れてしまう。
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満男のマドンナ:後藤久美子
<役名:及川泉>
満男の高校時代の後輩で及川礼子(夏木マリ)の娘。父親は礼子と別居しており、泉は母親と共に生活している。満男とは学校の吹奏楽部に所属していた時に出会う。両親の都合によってかき乱される泉を満男が気にかけてあげることで親密度が増していく。48作目にしてやっと満男に愛の告白をされるが、二人は結婚までに至らず。50作では海外の男性と結婚してイズミ・ブルーナという名前に変わっている。
及川泉役として4回(第42作、第43作、第44作、第45作、第50作)マドンナを演じる。
満男の恋愛にシフトしていく「男はつらいよ」シリーズの最後のほうで登場する満男にとってのマドンナ。
ゲスト:永瀬正敏
<役名:竜介>
マドンナ・蝶子の弟。
蝶子と同居し、油津で漁師をしている。
寅次郎とは蝶子の自宅で出会い、寅次郎からは「マドロス青年」と呼ばれるようになる。
仕事以外ではロックバンドのボーカルもしている。
「男はつらいよ 寅次郎の青春(第45作)」作品の解説
泉と満男の恋愛物語の第4弾となる作品。
今作の泉と満男の恋物語もそんなに展開があるわけではないが、三年経ってようやくこの作品で二人のキスシーンが描かれることになる。
とはいうものの、この作品で泉と満男の恋物語が一時的に終えることにもなる。
一方、寅次郎の恋の相手は髪結いの女・蝶子(風吹ジュン)。
こちらの二人の関係もそんなに深く描かれるわけではない。
どちらかというと、鐘の音を鳴らし「オレと一緒に暮らさんか?」と言い残し去っていった客を待つ蝶子の不思議な物語に目を向けるほうがいいかもしれない。
そして、今回もまた寅次郎と満男の絆が深まっていくのを感じられる作品になっている。
また、1作目から御前様を演じた笠智衆さんの遺作となった作品でもある。
夢のシーン
文武両道に秀でた文学博士・車寅次郎(寅次郎)が、甥の満男とその恋人(泉)をかくまい、追手を追い払う夢。
活動写真風(無声映画)になっており、音声はすべて弁士が語る形になっている。
寅次郎が翻訳しているのは、シェイクスピアの「ハムレット」ではなく、シェイキスピヤの「ハムレット」である。
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三年経ってようやく泉と満男のキスシーンが描かれる
42作目から始まった泉と満男の恋物語は三年の月日を経てようやくキスシーンが描かれることになる。
前作ではやっと手を握り合える関係までになった二人。
泉と満男は確実に少しずつ距離を縮めていくの感じられたが、なんとここで二人の恋物語は一時的に途切れることになってしまう。
泉が母親の病気のために名古屋に戻らなければいけなくなってしまうのだ。
いつか宮崎の石波海岸で「幸せは自分で掴むの」と満男に言っていた泉が選択したものは、自分のための人生ではなく、結局また母親に振り回される人生だった。
満男はそんな泉の人生を「母親の犠牲」という言葉で泉にぶつけてしまう。
家族に恵まれる満男の人生と家族に恵まれなかった泉の人生との違いから生まれる微妙なズレ。
満男が泉の心に本当に寄り添えるまでにはやはりまだ時間がかかるのだろう。
髪結いのマドンナ・蝶子の鐘の音から始まる不思議な恋物語
寅さんシリーズに登場するマドンナは自分の人生を自分の力で切り開こうとする自立した女性たちが多いが、今作に登場するマドンナ・蝶子(風吹ジュン)はそれと逆行するように運命に身を委ねられる女性である。
今までにない不思議な感覚を持ったマドンナと言える。
四、五年前に散髪に来た男性客に運命を感じ取り、再びその男性客が散髪に来るやいなや、何のためらいもなくその男性と結婚してしまうのだ。
しかも、その男性のために理髪店をやめて福岡まで行ってしまうほどのフットワークの軽さ。
この蝶子の動物的感覚や、男を言葉以外で感じ取ろうとする嗅覚は個人的に嫌いではない。
男が女をわかろうとする時、もしくは女が男をわかろうとする時、きっとこの蝶子のような言葉以外で感じ取る嗅覚が大切になってくるのではないだろうか。
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