この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(第47作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(第47作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(第47作)」の作品データ
公開日 | 1994年12月23日 |
上映時間 | 101分 |
マドンナ | かたせ梨乃/牧瀬里穂 |
ゲスト | 小林幸子 |
監督 | 山田洋次 |
原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:櫻井洋三 プロデューサー:野村芳樹/深澤宏 脚本:山田洋次/朝間義隆 企画:小林俊一 音楽:山本直純/山本純ノ介 美術:出川三男/横山豊 撮影:池谷秀行 照明:野田正博 編集:石井巌 監督助手:阿部勉 録音:鈴木功 調音:松本隆司 スチール:金田正 進行:副田稔 製作担当:峰順一 装置:秋元重矩 装飾:露木幸次 美粧:宮沢兼子 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 ファッションアドバイザー:ピーコ スティディカムオペレーター:佐光朗 撮影助手:近森真史 録音助手:原田真一 照明助手:青本隆司 編集助手:石島一秀 美術助手:土志田佳世 撮影監督:高羽哲夫 |
協力 | 滋賀県 長浜市 滋賀県 湖北十二町 |
製作協力 | 上越市 全国特定郵便局長会 柴又新明会 |
特別協力 | 郵政省貯金局 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 2,176,000人(シリーズ歴代5位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「釣りバカ日誌7」 |
啖呵売した商品 | 易本(暦本・人相・手相) ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
受賞歴 | ・第5回文化庁優秀映画作品賞長編映画部門 ・第13回ゴールデングロス賞優秀銀賞 |
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「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(第47作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(第47作)」のロケ地「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(第47作)」作品のあらすじ
久しぶりに柴又へ帰ってきた寅次郎は営業職に悩む満男にテキヤで身に付けたセールストークを教え、家族を感服させる。
しかし翌日、満男の会社に挨拶に行こうとする寅次郎をおいちゃんたちが止めて喧嘩になってしまう。
そして、怒った寅次郎は再び旅立ってしまう。
ある日、滋賀で旅をする寅次郎は琵琶湖で撮影旅行をしていた宮典子(かたせ梨乃)に出会う。
ところが、典子は撮影中にケガをしてしまい、それを寅次郎が助けたことによって仲良くなる。
共に宿泊し、典子が裕福な主婦でありながら、どこかマンネリ化した結婚生活を送っていることを知る寅次郎。
翌日、車で迎えに来た旦那さんと共に典子は鎌倉にある自宅へ帰っていく。
一方、満男は大学の先輩・川井(山田雅人)から相談があると滋賀に呼び出される。
そこで、川井の妹・菜穂(牧瀬里穂)と出会う。
川井から菜穂との結婚話が持ちかけられる満男だったが、菜穂の気持ちを考えずに一方的に話を勧めようとする川井のやり方のせいで結婚話はパーとなり、満男は傷つく結果となってしまう。
しばらくして東京に戻ってきた寅次郎は典子から送られてきた手紙の住所を頼りに彼女の自宅を訪れる。
満男の運転してきた車の中から、幸せそうな典子の姿を見た寅次郎はそのまま声を掛けずに去っていくのだった。
「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(第47作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 満男:吉岡秀隆
- 川井菜穂:牧瀬里穂
- 竜造:下條正巳
- つね:三崎千恵子
- 博:前田吟
- 社長:太宰久雄
- 源公:佐藤蛾次郎
- ポンシュウ:関敬六
- 専務:すまけい
- 歌手(小林さち子):小林幸子
- 宮典子: かたせ梨乃
<サブキャスト>
山田雅人/八木昌子/河原崎長一郎/岩下浩/平泉成/笠井一彦/マキノ佐代子/北山雅康/鈴木美恵/平田京子/篠原靖治/関谷次朗/橋本惇/渡部夏樹/光映子/谷よしの/神戸浩/
寅さんのマドンナ:かたせ梨乃
<役名:宮典子>
年一回、パートで貯めたお金で撮影旅行に出かける趣味を持つ女性。東京の鎌倉在住で既婚者。寅さんとは撮影旅行中の琵琶湖で出会う。典子のケガを寅さんが看病したことで二人に仲は親密になる。寅さんが旦那さんに連絡するように促したことにより、翌日、典子の夫が東京から迎えに来ることになり、二人はそのまま別れることになる。
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満男のマドンナ:牧瀬里穂
<役名:川井菜穂>
満男の大学の先輩・川井信夫の妹。
父の郵便局で働いている。
満男が信夫の自宅を訪問した時に、勝手に昼寝を観られたことに腹を立てる。
はじめは仲良くなれない二人だったが、次第に打ち解けていき、お互いに好意を持つ関係になっていく。
ゲスト:小林幸子
<役名:小林さち子>
レコード店巡りをしながら活動している売り出し中の演歌歌手。
寅次郎とは郵便局内で出会い、「大器晩成型」と言われる。
ラストシーンの長崎で再び寅次郎と再会するが、その時は歌がヒットして有名な演歌歌手になっている。
「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様(第47作)」作品の解説
いよいよシリーズもクライマックスにさしかかる。
この作品から渥美さんの体調不良が顕著に出てくることもあり、物語がやや単調になってしまっている。
次回作の寅次郎とリリーの物語でシリーズが完結されるとなれば、実質この作品が寅次郎を描く最後の作品と言えるかもしれない。
そういう意味で寅次郎が甥の満男へ残す最後のメッセージとも言える作品でもある。
そして、今までシリーズを通して描いてきた愛の形を一度リセットして、現実的なものとして描いているところも興味深い。
寅次郎がシリーズを通してたどり着いた愛の形
倦怠期を迎えていたマドンナ・典子の話を聞いた寅次郎が感じた愛の形とは、「愛していなくても成立してしまう夫婦生活」。
そこから逃げ出す選択肢もありつつ、子供や生活を維持するための収入面を考慮し、とりあえずそこに収まっておいたほうが楽でずるずると妥協してしまう生活。
寅次郎はそんな夫婦生活に疑問を持ちつつ、典子と別れた後もそのことが気がかりで典子の自宅まで行ってしまう。
そこには、あの時夕暮れの菅浦で典子が語っていた生活は微塵も感じさせない、娘と共に笑顔で出かけようとする典子の姿があった。
その光景を見た寅次郎は、ある真実にたどり着く。
シリーズでよく語っていた寅次郎の愛の形とは、「この人のためだったら命なんかいらない・・・もう死んじゃってもいい!」だったが、ここにきて「感情に流されるだけの関係ではなく、努力して関係を維持していく」という愛の形も知るのだ。
寅次郎が甥の満男へ残す最後のメッセージ
この作品のもう一つ重要な見ところを挙げるとすれば、甥の満男へ送る寅次郎の最後のエールだ。
靴のセールスで苦労している満男に寅次郎が消しゴム付きのえんぴつを使って売り方をレクチャーするシーンもその一つだが、やはり江ノ電の鎌倉高校前駅のホームで満男を叱るシーンが満男へ送る寅次郎の最後のメッセージだったのだろう。
「失恋してホッとした、恋をするのはくたびれる」の満男の発言に対し、寅次郎の表情が一瞬にして変わる。
そして、一喝する。
江ノ電といえば、かつて29作「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」で、マドンナ・かがり(いしだあゆみ)のデートに連れてこられた幼い満男が失恋で涙する寅次郎を目撃した場所でもある。
その経緯を知っていると、この寅次郎のお説教はとても説得力のあるものとなるのだ。
「大声出して、のた打ち回るような、恥ずかしくて、死んじゃいたいような恋をするんだよ!」
この教えを胸に刻んだ満男は、次回作で泉ちゃんの結婚式をめちゃくちゃにしてしまう結果に・・・。
だが、それをキッカケに満男が泉ちゃんに告白する展開が作られる。
なので、この寅次郎のメッセージは間違いなく満男にとって意味のあるものだったのだ。
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