この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 寅次郎夢枕(第10作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 寅次郎夢枕(第10作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 寅次郎夢枕(第10作)」の作品データ
公開日 | 1972年12月29日 |
収録時間 | 98分 |
マドンナ | 八千草薫 |
ゲスト | 米倉斉加年/田中絹代 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清 企画:高島幸夫/小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:佐藤公信 音楽:山本直純 録音:中村寛 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 監督助手:五十嵐敬司 装置:小野里良 装飾:町田武 進行:宗本弘美 衣装:東京衣装 現像:東京現像所 製作主任:池田義徳 |
協力 | ダイハツ自動車販売株式会社 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 2,111,000人(シリーズ8位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「舞妓はんだよ 全員集合!!」 |
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映画「男はつらいよ 寅次郎夢枕(第10作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 寅次郎夢枕(第10作)」のロケ地「男はつらいよ 寅次郎夢枕(第10作)」作品のあらすじ
久しぶりに「とらや」に帰ってきた寅次郎であったが、みんなが自分の悪口を言っているのではないかと勝手な誤解をしてしまう。
ひねくれた己の愚かさに反省した寅次郎は、地道な生活を送るために結婚を考えるが、持ち掛けられた縁談すべてがうまくいかずに徒労に終わってしまう。
うまくいかないことをみんなの娯楽にされていると勘違いした寅次郎は、ケンカ別れするように旅に出てしまう。
しばらくして、再び柴又に戻ってきた寅次郎は、「とらや」に下宿している大学助教授の岡倉(米倉斉加年)に自分の部屋を奪われたと思い、また旅に出ようとする。
しかし、ちょうどその時、幼馴染みである千代(八千草薫)と再会したことで上機嫌となった寅次郎は、「とらや」にとどまることになる。
亭主と別れ、一人息子にさえ、なかなか会うことができない千代の境遇を知った寅次郎は、なんとか千代を慰めようと「とらや」に招待して食事を振舞ったりする。
一方、千代に惚れた岡倉が恋煩いでおかしくなっている様子を気に掛けた寅次郎は、岡倉の思いを千代に伝えようとするが・・・。
「男はつらいよ 寅次郎夢枕(第10作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 志村千代:八千草薫
- 博:前田吟
- 登:津坂匡章
- つね:三崎千恵子
- 竜造:松村達雄
- 満男:中村はやと
- 源公:佐藤蛾次郎
- 梅太郎:太宰久雄
- 湯中教授:清水将夫
- 高垣刑事:河村憲一郎
- 長次郎親分:吉田義夫
- 御前様:笠智衆
- 岡倉:米倉斉加年
- 旧家の奥様:田中絹代
<サブキャスト>
武智豊子/岡崎夏子/後藤泰子/安井真樹子/笹原光子/粟辻聰/村上猛/羽生昭彦/長谷川英敏/江藤孝/中田昇/三角八郎
マドンナ:八千草薫
<役名:志村千代>
寅次郎の同級生で幼馴染み。
大きな呉服屋の一人娘で、華やかな結婚はしたものの、亭主に恵まれずに離婚。
一人息子がいるが、何かの事情で息子と離れ離れに生活している。
寅次郎にプロポーズされたと勘違いし、寅次郎との結婚を承諾するが、すべては「とらや」に下宿している東大の助教授・岡倉(米倉斉加年)との仲立ちであったことを知り、ショックを受ける。
宝塚歌劇団出身の女優さんがマドンナ役として登場。
シリーズではじめて寅次郎に好意を寄せ、寅次郎との結婚を受け入れるマドンナ。
シリーズに登場したすべてのマドンナの中で、逆プロポーズをしたのはこの千代以外にいない。
→「「男はつらいよ」に登場した寅さんの歴代マドンナ47人を徹底ガイド」 この記事では、「男はつらいよ」シリーズに登場した寅さんと満男の歴代マドンナを詳しく紹介していきたいと思います。 「男はつらいよ」全49作に登場したマドンナは47名にものぼり、寅さん映画の華を飾ってくれ ...
「男はつらいよ」に登場した寅さんの歴代マドンナ47人の紹介と演じた女優さん徹底ガイド
ゲスト:米倉斉加年
<役名:岡倉金之助>
御前様の甥で、東京大学理学部の助教授。
大学では、理論物理の「素粒子論」を研究しており、東大で何十年に一人の秀才と呼ばれている。
「とらや」の二階で下宿することになるが、その時に出会った千代(八千草薫)に一目惚れしてしまう。
風変わりな学者を演じることで、寅次郎のインテリいじりの面白さを最大限に引き出した。
米倉斉加年はその後の作品で、警官役、失踪するエリートサラリーマン役などで登場してくる。
ゲスト:田中絹代
<役名:旧家の奥様>
寅次郎のテキヤ仲間・伊賀の為三郎の弔いを出してくれた、甲州路にある旧家の奥様。
旅の途中に立ち寄った寅次郎に漬物をご馳走する。
日本映画史を代表する大女優。
渥美清との物静かなセリフのやり取りが、重厚なシーンを演出する。
寅次郎と別れるシーンは、晩秋の甲州路の物悲しさと、日本人のおもてなしの精神をうまく表現されている。
「男はつらいよ 寅次郎夢枕(第10作)」作品の解説
前回の吉永小百合に続き、今作では宝塚出身の女優・八千草薫をマドンナに迎えたことで、寅さん映画のシリーズ化がどんどん定着していく。
今作で新たな風を吹き込んだのは、寅次郎に好意を寄せ、寅次郎との結婚を受け入れるマドンナが登場したことだろう。
フラれる寅次郎が定番となりつつあった今までの寅さんシリーズが、ここにきて大番狂わせな展開へと変わっていく。
今まで結婚願望が強いと思われていた寅次郎が、マドンナからの積極的なアプローチを受けると、実はしどろもどろになって、自らで身を引く行動を取ってしまうことが発覚する。
そして、大学助教授の岡倉(米倉斉加年)に対する寅次郎のインテリいじりの面白さも、この作品の見どころと言える。
マドンナに恋するだけではなく、恋のキューピット役として一役買う寅次郎もシリーズ初の試みとなり、いろんな意味で革命を起こした作品である。
夢のシーン
マカオの寅(寅次郎)が、女給(さくら)と書生(博)を助ける夢。
時代は昭和初期という設定。
映像をセピア色にし、昔の写真風な色合いをうまく演出している。
→男はつらいよシリーズ全夢のシーン紹介ページ この記事では、映画「男はつらいよ」のオープニングで流れる寅さんの夢のシーンをすべてまとめてみました。 シリーズ全49作中、夢のシーンが含まれるのは全部で34作品。 人が眠っている時に見る夢というのは、 ...
映画「男はつらいよ」オープニングの寅さんの夢のシーン全まとめ
結婚したいのに結婚を拒む寅次郎の不可解すぎる一面が見え隠れする
今作でまた、新たな寅次郎の一面を知ることになる。
それは、いざ結婚が現実問題として目の前で起こると、途端に結婚を受け入れられなくなる寅次郎の一面である。
今までの寅次郎を見ても、所帯を持つことに憧れを持っていたし、何度かマドンナと結婚することも夢見ていたはずである。
ところが、女性のほうから結婚を持ちかけられると、寅次郎はなぜか拒む態度を取ってしまうのだ。
お千代坊の決死の覚悟で言い放った逆プロポーズを受けてしても、寅次郎は冗談で片付けようとしてしまう。
本来なら、去っていくお千代坊を追いかけてプロポーズすべきところであるが、寅次郎にはそんな勇気と覚悟がないことが発覚してしまう。
これは、シリーズが進むにつれて、寅次郎の中でどんどん膨れ上がっていく苦悩となっていく。
寅次郎にとって結婚とは、届きそうで届かない夢の世界なのか、もしくは、入り込んではいけないタブーの世界なのか、寅次郎自身が結婚についてどのように解釈しているのかは、この作品を観ても理解に苦しむところである。
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