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映画「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」の作品解説(マドンナ:新珠三千代)

2019年7月26日

この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。

映画「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」の予告編動画

映画「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」の作品データ

映画「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」のビジュアルポスター
公開日1970年1月15日
上映時間90分
マドンナ新珠三千代
ゲスト香山美子/河原崎健三
監督森崎東
原作山田洋次
スタッフ製作:上村力
企画:高島幸夫
脚本:山田洋次/小林俊一/宮崎晃
撮影:高羽哲夫
美術:佐藤公信
音楽:山本直純
照明:青木好文
編集:吉原よ志
録音:鈴木正男
調音:佐藤広文
監督助手:熊谷勲
装置:横手輝雄
進行:萩原辰雄
現像:東京現像所
製作主任:池田義徳
協力三重県 湯の山温泉
近鉄観光ホテル
湯の山ホテル
柴又帝釈天読踊会
衣装協力きもの:鴫河株式会社
帯:いづくら
主題歌男はつらいよ
観客動員数526,000人(シリーズ46位)
⇒「寅さんシリーズランキング
同時上映「美空ひばり・森進一の花と涙と炎」
啖呵売した商品ガマの油、健康バンド
⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト
受賞歴・第21回芸術選奨新人賞/森崎東
同・文部大臣賞/倍賞千恵子

映画「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」のDVD&Blu-ray

映画「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」のサブスク動画配信サービス

映画「男はつらいよ」シリーズは、「FODプレミアム」「hulu」「U-NEXT」などのサブスク動画配信サービスを利用することで、いつでも視聴することができます。

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「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」のロケ地情報

「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」のロケ地
  • ゑちごや(長野県)
  • 諏訪神社(神奈川県)
  • 湯の山温泉(三重県)
  • 湯の山温泉のバス停留場(三重県)
  • 蔵之助のお土産店(三重県)
  • 湯の山街道(三重県)
  • 旅館翠月(三重県)
  • 四日市コンビナート(三重県)
  • 御在所ロープウェイ(三重県)
  • 蒼滝橋(三重県)
  • 錦江湾(鹿児島県)
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    「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」作品のあらすじ

    久しぶりに柴又に帰ってきた寅次郎は縁談の話を持ち掛けられ、お見合いすることになる。
    ところが、そのお見合い相手は寅次郎の昔から知っている駒子(春川ますみ)という亭主持ちの女性であった。
    寅次郎は、亭主とうまくいっていない駒子のために二人の仲を取り持つが、そのために使った費用をとらやに請求する形にしてしまう。
    案の定、怒ったおいちゃんとおばちゃんは寅次郎と大ゲンカとなり、寅次郎は柴又を出て行くことになる。
    一カ月後、三重県の湯の山温泉に旅行に出かけたおいちゃんとおばちゃんであったが、偶然にも泊まった旅館で番頭をしている寅次郎と遭遇。
    旅館の女将・志津(新珠三千代)に惚れ込んで働くようになった寅次郎の経緯を聞いて心配するが、そのまま柴又へ帰っていく。
    一方、弟・信夫(河原崎健三)のことで力を貸してほしいと女将・志津に頼まれた寅次郎は、信夫とその恋人・染奴(香山美子)との仲をうまく取り持つ。
    信夫と染奴は駈け落ちすることになるが、それがきっかけで志津は旅館をやめて結婚することを決意する。
    そのことを寅次郎に言い出せずにいた志津は、旅館の従業員の口を借りて寅次郎に説明するように頼み込む。
    志津の本当の気持ちを知った寅次郎はショックを受け、ひっそりと旅館を後にする。

    「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」作品のキャスト

    <メインキャスト>

    • 車寅次郎:渥美清
    • お志津:新珠三千代(東宝)
    • さくら:倍賞千恵子
    • 染奴:香山美子
    • 信夫:河原崎建三
    • 博:前田吟
    • 駒子:春川ますみ
    • つね:三崎千恵子
    • お澄:野村昭子
    • 信州の女中:悠木千帆
    • 千代:佐々木梨里
    • 吉井:高野真二
    • 徳爺:左卜全
    • 源吉:佐藤蛾次郎
    • 梅太郎:太宰久雄
    • 為吉:晴乃ピーチク
    • 茂造:晴乃パーチク
    • 竜造:森川信
    • 御前さま:笠智衆
    • 清太郎:花沢徳衛

    <サブキャスト>
    山本幸榮/土田桂司/高杉和宏/高木信夫/大杉侃二郎/花井緑太郎/石井愃一/山内光男(中部日本放送アナウンサー)/光映子/白川恵子/水木涼子/秩父晴子/藤間恵美/脇山邦子/坂田多恵子/坂井久美

    マドンナ:新珠三千代

    マドンナ:新珠三千代

    <役名:志津>

    湯の山温泉の旅館「もみじ荘」の女将。
    5歳の一人娘がいるが、夫とは死に別れており、未亡人である。
    弟・信夫(河原崎健三)が旅館を引き継ごうとしないため、旅館を1人で切り盛りしている。

    品があり、清楚な美しさを持つ大人の女性。
    その魅力に取りつかれた寅次郎は「もみじ荘」の番頭として働くことになる。
    すべては寅次郎の思い込みが原因となっているが、見方によっては寅次郎をうまく利用し、ねぎらいの言葉すらかけずに別れていく。
    映画のテーマ上、仕方のない演出になったいるが、シリーズ中で最も酷いマドンナというイメージが強くなってしまっている。

    →「「男はつらいよ」に登場した寅さんの歴代マドンナ47人を徹底ガイド

    ゲスト:香山美子

    ゲスト:香山美子

    <役名:染奴>

    湯の山温泉で芸者として働いている。
    志津の弟・信夫(河原崎健三)の恋人。
    病に侵された父親の借金を返すために妾になるか、信夫と所帯を持つか、の選択に迫られる。

    ゲスト:河原崎健三

    ゲスト:河原崎健三

    <役名:信夫>

    志津(新珠三千代)の弟。
    旅館の若旦那として跡を継げる立場でありながら、母親が亡くなってからグレ始め、後を継ぐ意志はなくなっている。
    恋人の染奴(香山美子)が妾になるという噂を聞いて、所帯を持つ意志が固まる。

    「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」作品の見どころ

    前作の公開から約2ヶ月という短い期間で作り上げたシリーズ第3作目。

    この作品で山田洋次は脚本のみを担当し、監督は森崎東が務めている。

    そのため、山田洋次監督が描く家族や故郷をテーマにする作風とは違い、渡世人・車寅次郎に焦点を合わせ、寅次郎の人間像を深く掘り下げたような作品になっている。

    まさにタイトルにもあるように「フーテンの寅」に合う作品に仕上がっていると言えるだろう。

    柴又が映し出されるのは映画開始の最初のほうだけであり、ほとんどが旅先での寅次郎を描いたまま終わっていく異色作でもある。

    冒頭のシーンで、樹木希林(クレジットでは悠木千帆)が寅次郎が泊っている旅館の仲居役として出演しているのも見どころ。

    そして、この作品で使われた寅次郎のセリフ(インテリのくだり)部分が、過去の東大入試問題として出題されたことがある。

    寅次郎がシリーズ中最も酷いフラれ方をする

    「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」作品の解説

    この第3作は、寅次郎がシリーズ中最も酷いフラれ方をしていると言える。

    基本的に男はつらいよシリーズの初期の作品は、寅次郎が一方的にマドンナを好きになり、一人相撲のまま自滅していくパターンが多い。

    この作品がまさにその代表作とも言える。

    映画のテーマ上、そうならざるを得ないわけだが、この第3作の寅次郎の失恋の仕方は群を抜いてしまっている。

    無様すぎるほどに、この作品の寅次郎は一人相撲を繰り返している。

    この作品の哀しいのは、寅次郎の味方になってくれる人が一人もいないというところ。

    しかし、この無様すぎる寅次郎をあえて作り出すことで、森崎東監督は力強く生きるフーテンの寅次郎を見事に描き切ったとも言えるだろう。

    家族や故郷よりも渡世人・車寅次郎の人物像をテーマに描かれた異色作

    「男はつらいよ フーテンの寅(第3作)」作品の解説

    この作品の見どころは、渡世人・車寅次郎の人物像に焦点を当てた物語になっているところだろう。

    これも、森崎東監督が作り出した独特の世界観とも言える。

    寅次郎がとらやの人たちと関わった出来事に深い意味はなく、それよりも寅次郎自身の生き様を描くことがメインとなっている。

    もちろん、この作品全体を通して寅次郎を見た場合、いつものコミカルで、ドジっぷりは存分に描かれている。

    しかし、叩かれても踏みつけられても、それでも這い上がってくるバイタリティ溢れる寅次郎が見れるのだ。

    そして、自分の娘を妾に出さなければいけない元テキヤの父親を相手にし、寅次郎が仁義を切るシーンは見応え十分である。

    おそらく、山田洋次監督であればこういうシーンをあえて入れてくることはなかっただろうなあと思えてくる。

    それほど、この第3作「男はつらいよ フーテンの寅」という作品は、渡世人として生きる寅次郎をリアルに描き出そうとしているのがわかる。

    他の作品にない少し異色な作品になっているのである。

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