この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 私の寅さん(第12作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 私の寅さん(第12作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 私の寅さん(第12作)」の作品データ
公開日 | 1973年12月26日 |
収録時間 | 107分 |
マドンナ | 岸惠子 |
ゲスト | 前田武彦/津川雅彦 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清 企画:高島幸夫/小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:佐藤公信 音楽:山本直純 録音:中村寛 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 監督助手:五十嵐敬司 装置:小野里良 装飾:町田武 進行:福山正幸 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 製作主任:池田義徳 |
協力 | 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 2,419,000人(シリーズ1位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「大事件だよ 全員集合!!」 |
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映画「男はつらいよ 私の寅さん(第12作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 私の寅さん(第12作)」のロケ地「男はつらいよ 私の寅さん(第12作)」作品のあらすじ
久しぶりに「とらや」に帰省した寅次郎であったが、運悪く「とらや」一家が九州旅行に出かける前日というタイミングであった。
しぶしぶ留守番する羽目になる寅次郎は、旅行先から電話をかけてこない”さくら”たちに大激怒。
早めに旅行を切り上げて帰ってくる「とらや」一家は、長旅で疲れた体を癒してほしいと願う、寅次郎の手厚いもてなしを受け、感動する。
ある日、寅次郎は小学校の同級生・柳文彦(前田武彦)と再会し、文彦の実家に招かれるが、文彦の妹・りつ子(岸惠子)の絵を汚してしまったことがキッカケで、りつ子と大ゲンカとなる。
しばらくりつ子を目の敵にしていた寅次郎であったが、素直に謝るりつ子にだんだん好意を持つようになっていく。
「男はつらいよ 私の寅さん(第12作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 博:前田吟
- つね:三崎千恵子
- 源公:佐藤蛾次郎
- 社長:太宰久雄
- 買占め商人:吉田義夫
- 画伯:河原崎國太郎
- 夫人:葦原邦子
- 竜造:松村達雄
- 御前様:笠智衆
- 一条:津川雅彦
- 柳文彦:前田武彦
- 柳りつ子:岸恵子
<サブキャスト>
中村はやと/加島潤/土紀養児/高木信夫/羽生昭彦/木村賢治/長谷川英敏/村上猛/大原みどり
マドンナ:岸恵子
<役名:柳りつ子>
寅次郎の親友・柳文彦(前田武彦)の妹。
生活苦を強いられながらも、好きな絵を描くことに情熱を注ぐ画家。
幼い頃から病弱で痩せていたため「キリギリス」と呼ばれて育った。
自分の描いた絵を汚されたことで、会って早々寅次郎と大ゲンカとなる。
失恋を機に寅次郎の想いに気付くが、どうしても恋愛感情が芽生えず、直接「友達として付き合いたい」という旨を寅次郎に伝える。
知的・インテリ風を嫌うはずの寅次郎を虜にした芸術家マドンナ。
友達以上恋人未満の関係のほうがうまくいくこともある、ということを寅次郎に気付かせたマドンナである。
→「「男はつらいよ」に登場した寅さんの歴代マドンナ47人を徹底ガイド」
ゲスト:前田武彦
<役名:柳文彦>
寅次郎の小学校時代の同級生で、あだ名は「でべそ」。
父親が病院を経営していた頃はお金持ちのお坊ちゃまだったが、タダ同然の値段で治療をしていた病院は倒産し、それから貧乏な生活を強いれるようになる。
父親に反発し、文学部に入って小説家を志すが挫折。
現在はテレビ局に勤務しており、お金が入ると実家で貧乏な生活を送っている妹に、金の工面をしにくる。
一度結婚はしたが、現在は独身である。
柳文彦は、28作「男はつらいよ 寅次郎紙風船」の寅次郎の同級会の時にも登場する。
この時はなぜか、寅次郎に「カワウソ」というあだ名で呼ばれている。
ゲスト:津川雅彦
<役名:一条>
りつ子の絵を買い取りに来る画商。
りつ子の絵を買い取るのが目的なのか?りつ子に気があるのか?は謎だが、待ち合わせ場所の「とらや」で商談を持ちかけてくる。
実際のところ、りつ子には煙たがられている。
「りつ子の恋人か?」と思わせるような登場だったが、りつ子には全くその気がない。
「男はつらいよ 私の寅さん(第12作)」作品の解説
寅さんファンでも意外に知られていないが、男はつらいよシリーズの作品の中で最も観客動員数が多かった作品である。
公開した時期がちょうど寅年に向かうタイミングだったことも影響していたのかもしれない。
この作品では、好意を持っていることをマドンナに気付かれて、マドンナとの関係がこじれてしまう寅次郎の苦悩が描かれる。
寅次郎の嫌うインテリ風の女性(芸術家)がマドンナになっているところも興味深く、どのような過程を経て寅次郎が恋心を芽生えさせていくのかも見どころである。
そして、「とらや」一家が九州旅行に出かけるシーンでは、定住者である「とらや」一家の人々と、放浪者である寅次郎の立場を逆転させて描いているところも非常に興味深い。
夢のシーン
柴又の英雄・寅次郎が、大飢饉で飢え苦しむ柴又村の人たちを悪漢・だあ様から救う夢。
ここからしばらく、坂東鶴八郎、タコ社長、源公の悪役3人組が定着してくる。
待つ身となって心配しまくる寅次郎
この作品の面白いところは、年中旅ガラスで家に帰らない寅次郎が、九州旅行に出かけた「とらや」一家の留守番をさせられるところだろう。
普段、寅次郎を心配する立場である「とらや」一家が、寅次郎一人を家に置いて旅行に出かけるという、真逆のシチュエーションで描かれるのが面白い。
寅次郎は、普段、旅をしている時には気付かない、待つ身の気苦労を嫌と言うほど知らされることになる。
なかなかかけてこない「さくら」からの電話を受け取り「てめえたちにはね、待つ身というものが、どんなに辛いものかわからねえんだよ!」と言い放った寅次郎のセリフは名言である。
マドンナの気苦労を知り、そっと身を引く寅次郎
好意を持っていることをマドンナに気付かれてしまうという展開は、第6作「男はつらいよ 純情篇」のマドンナ・夕子(若尾文子)の時と同じである。
しかし、6作目の作品との違いは、寅次郎自身がマドンナの気持ちを察し、自分なりの解決策を模索して行動に移すところだろう。
ラストで寅次郎は、なぜりつ子の自宅を訪ねていったのか?
りつ子に自分の気持ちを気付かれ、弁解するために訪ねていったのだろうか?
とにかく、りつ子に何か伝えようとして訪ねていったことに違いはない。
ところが、りつ子の話を聞いているうちに、寅次郎は自分の好意がりつ子に迷惑をかけていることに気付くのだ。
そして、寅次郎はりつ子の負担にならないように、あたかもはじめから自分はあなたに惚れていないといったような嘘を付くのだ。
女性に想いを伝えられなくなる寅次郎は、この時から徐々に形作られていったのかもしれない。
当然、りつ子は寅次郎が嘘を付いていることに気付いている。
マドンナ・りつ子が描いたと思われる寅次郎の似顔絵が登場
この12作目の公開がちょうど寅年に向かう年であったため、寅次郎は寅関連の商品を熊本の阿蘇山火口付近で売っているのだが、その中にりつ子が描いたと思われる寅次郎の似顔絵が飾られている。
非売品として置いているところが面白い。
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