この記事では、寅さん映画シリーズの「新・男はつらいよ(第4作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「新・男はつらいよ(第4作)」の予告編動画
映画「新・男はつらいよ(第4作)」の作品データ
公開日 | 1970年2月27日 |
上映時間 | 92分 |
マドンナ | 栗原小巻 |
ゲスト | 財津一郎/三島雅夫 |
監督 | 小林俊一 |
原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:斎藤次男 企画:高島幸夫 脚本:山田洋次/宮崎晃 撮影:高羽哲夫 美術:宇野耕司 音楽:山本直純 照明:青木好文 編集:石井巌 録音:小尾幸魚 調音:松本隆司 監督助手:大嶺俊順 装置:小野里良 装飾:町田武 進行:福山正幸 衣装:東京衣装 現像:東洋現像所 製作主任:池田義徳 |
協力 | 柴又神明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 485,000人(シリーズ48位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「アッと驚く為五郎」 |
啖呵売した商品 | 易本(暦本・人相・手相) ⇒「寅さんが啖呵売した作品別全商品リスト」 |
受賞歴 | - |
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「新・男はつらいよ(第4作)」のロケ地情報
「新・男はつらいよ(第4作)」のロケ地「新・男はつらいよ(第4作)」作品のあらすじ
競馬で100万円を当てた寅次郎はタクシーに乗って名古屋から柴又へ帰ってくる。
寅次郎はその100万円でおいちゃんとおばちゃんをハワイ旅行へ連れていくことに決めるが、旅行会社の社長にその100万円をそのまま持ち逃げされてしまう。
近所の盛大なお見送りを目の前にし、旅行に行けなくなったことを言い出せなくなってしまった寅次郎はとりあえずそのままタクシーに乗って羽田空港へ。
事情を知った博にかくまってもらいながら真夜中にこっそりと「とらや」に戻り、ハワイから帰ってくるまでの数日間を人の目に触れないように生活する。
ところが、運悪く「とらや」に泥棒(財津一郎)が侵入してしまい、寅次郎たちがハワイに行っていないことが近所の人たちにバレてしまう。
赤っ恥をかいた寅次郎は、そのまま柴又をあとにする。
1か月後、再び柴又に帰ってきた寅次郎は、「とらや」の2階で下宿している春子先生(栗原小巻)にバッタリと遭遇し、有頂天になってしまう。
父親が亡くなって沈んでいる春子先生を寅次郎は、あの手この手で慰める。
ところが、ある日、春子先生の恋人が突然「とらや」に訪れてきて状況が一変する。
傷心した寅次郎は、夜こっそりと柴又を出て行ってしまう。
「新・男はつらいよ(第4作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 春子:栗原小巻
- 御前さま:笠智衆
- 隆夫:横内正
- 吉田:三島雅夫
- 泥棒:財津一郎
- おじちゃん:森川信
<サブキャスト>
三崎千恵子/前田吟/津坂匡章/佐藤蛾次郎/太宰久雄/佐山俊二/村瀬幸子/関口銀三/浜村純/東光生/山本幸栄/北竜介/園田健二/今井健太郎/小田草之介二見忠男/小森英明/城戸卓/高木信夫/市山達己/川島照満/尾和義三郎/谷よしの/大塚君代/みずの皓作/大久保敏男/江藤孝/長谷川英敏/羽生昭彦/石井愃一/脇山邦子/
マドンナ:栗原小巻
<役名:宇佐美春子>
題経寺付属ルンビニー幼稚園の先生。
御前様の計らいで「とらや」に下宿することに。
死の間際に娘に会いたいという父の願いを拒むほど、父親に対して何かしらの恨みを持っている。
下宿中の「とらや」に帰ってきた時に寅次郎とバッタリ出会い仲良くなるが、突然恋人らしき人物を「とらや」に招き入れ、その光景を寅次郎に目撃されてしまう。
24歳という若さでマドンナ役に抜擢される。
後藤久美子(当時15歳)、榊原るみ(当時20歳)に次ぐ、シリーズ中で3番目に若いマドンナであった。
栗原小巻は、第36作「男はつらいよ 柴又より愛をこめて」にて、小学校の教師という役で、再び別のマドンナとして登場する。
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ゲスト:財津一郎
<役名:泥棒>
とらや一家がハワイ旅行に出かけている間、「とらや」に忍び込むんでくる泥棒。
警察に連絡できないとらやの状況をうまく利用し、いろんなものをせびり取って「とらや」をあとにするが、すぐに警官に捕まってしまう。
ちなみに財津一郎は、第2作目「続・男はつらいよ」で、盲腸の手術をしたばかりの入院患者役で登場しているが、今作では渥美清とガッツリ絡んだコント劇を披露してくれる。
ゲスト:三島雅夫
<役名:吉田医師>
春子の父親の友人であり、春子の父親の主治医。
死の床で娘に会いたいと願う父親のために、春子を懸命に説得する。
登場するシーンはとても短いが、独特の存在感と落ち着いた演技で春子の父親の死をリアルなものにしている。
「新・男はつらいよ(第4作)」作品の見どころ
第3作目の公開から、わずか43日目に封切られるという異例のスケジュールで製作された、男はつらいよシリーズ第4作目の作品。
今作は、テレビ版「男はつらいよ」の脚本兼プロデューサーであった小林俊一が監督を務めた作品であり、時間をかけてじっくり観る映画作品というよりも、茶の間で気軽に楽しめるテレビザイズの作品といった味わいのほうが強い。
撮影もほぼ柴又がメインとなっており、寅次郎が日本各地を旅して歩くといった光景はほとんど出てこないが、その分「とらや」内で繰り広げられるドタバタコント劇は、かなり見応えのあるものに仕上がっている。
前半は「とらや」のドタバタコント劇、後半ではマドンナに入れ込み、失恋していくまでの寅次郎がいつものように描かれている。
今作も、山田洋次監督作品とは少し違った空気感が漂う異色作である。
テレビ版「男はつらいよ」を手掛けた小林俊一監督の作品
今作の特徴は、やはりテレビ版を作っていた小林俊一が監督を務めあげているところ。
小林俊一は、テレビ版「男はつらいよ」の頃から作品に携わっており、山田洋次監督と並び、寅さんの生みの親とも言える存在の方である。
当然、「男はつらいよ」という作品をよく熟知している分、どのように作れば寅さん映画を面白くできるのかをよく理解しているお方だろう。
全体を通して作品を観ても、1つ1つのシーンがやや長めのカット割りとなっており、セリフも長い。
特に、ハワイ旅行に行きそびれた後の「とらや」に潜伏するシーンなどにそれが顕著に現れていて、まるでテレビサイズのコントを観ているかのような錯覚を覚える。
寅さんシリーズを振り返ってみても、これだけ長く、つなぎ目のないシーンを堪能できる作品は他にない。
そして、映画の開始早々、寅次郎が競馬場で競馬をしているシーンが登場するのも、どこか山田洋次監督の作品では見られない空気感であると言えるだろう。
フランス座時代の渥美清を彷彿させるような濃厚なコント劇が堪能できる
渥美清が役者になる前、浅草のストリップ劇場の専属コメディアンを経験し、フランス座の舞台でドタバタコントを披露していたというのは有名な話である。
私自身、その頃の渥美清をリアルで見てきた世代ではないが、かつて渥美清がフランス座の舞台で披露していたコント喜劇がそのまま再現されているのではないか、と想像してしまうほどだ。
この作品の中で登場する、「とらや」に泥棒が入るシーンがまさにそのコント喜劇と言える。
シリーズ中、最も長回しと思えるこのシーンは、渥美清と、泥棒役の財津一郎が抜群のコンビネーションでドタバタコントを繰り広げるのだ。
無駄のないコミカルな動きと、軽快なセリフ回しは、まさにフランス座の舞台で培ったコメディアンとしての渥美清そのものだったのではないかと思えてくるのだ。
まさに渥美清の独壇場とも言えるこのシーンは、渥美清の得意とするアドリブもそのまま作品に使われている。
シリーズを通しても名言中の名言であるが、このセリフも渥美清によって発せられたアドリブだったと言われている。
松竹大船撮影所と柴又のロケ地をメインに撮影された
冒頭の中京競馬場、羽田空港、ラストシーンで大分県の由布岳をバックに走る国鉄久大本線の蒸気機関車(D60形)の風景以外は、ほぼ柴又界隈をメインに撮影されている。
前作の公開から、わずか43日という短い期間内で撮影されたということもあり、寅次郎の旅先での風景はほとんどない。
ほぼ松竹大船撮影所にある「とらや」のセットでの撮影がメインとなっている。
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