この記事では、寅さん映画シリーズの「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(第13作)」の作品の見どころを解説していきたいと思います。
目次
映画「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(第13作)」の予告編動画
映画「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(第13作)」の作品データ
公開日 | 1974年8月3日 |
収録時間 | 104分 |
マドンナ | 吉永小百合 |
ゲスト | 高田敏江/宮口精二 |
監督・原作 | 山田洋次 |
スタッフ | 製作:島津清 企画:高島幸夫/小林俊一 脚本:山田洋次/朝間義隆 撮影:高羽哲夫 美術:佐藤公信 音楽:山本直純 録音:中村寛 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巌 監督助手:五十嵐敬司 装置:小野里良 装飾:町田武 衣装:松竹衣装 現像:東京現像所 進行:玉生久宗 製作主任:内藤誠 |
協力 | 益田市観光協会 温泉津町観光協会 津和野町観光協会 柴又新明会 |
主題歌 | 男はつらいよ |
観客動員数 | 1,944,000人(シリーズ15位) ⇒「寅さんシリーズランキング」 |
同時上映 | 「超能力だよ 全員集合!!」 |
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映画「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(第13作)」のロケ地情報
「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(第13作)」のロケ地「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(第13作)」作品のあらすじ
寅次郎は、島根県で知り合った女性・絹代(高田敏江)と結婚を考えていることを「さくら」たちに報告するために柴又に帰ってくる。
ところが、「さくら」たちは寅次郎がすでに婚約しているものだと早合点してしまい、寅次郎とケンカになってしまう。
妹の「さくら」とタコ社長は、寅次郎が結婚を考えているという女性・絹代に会うために島根県まで出向くが、蒸発していたはずの夫がいつの間にか戻っており、寅次郎と絹代の結婚は破談となってしまう。
傷心した寅次郎は、一人旅へ。
ある時、寅次郎は津和野にある食堂で、以前出会った小説家の娘・歌子(吉永小百合)と偶然に再会する。
病死で夫を失い、身動きが取れなくなっている歌子の苦労話を聞くが、寅次郎は何もできないまま歌子を置いてバスに乗って旅立ってしまう。
歌子をそのまま置いてきてしまったことを悔やむ寅次郎は、柴又の「とらや」へ帰ってくる。
ところが、寅次郎は、偶然にも夫の実家とケンカ別れをし、東京に戻ってきていた歌子と「とらや」でふたたび再会する。
東京での就職口が決まった歌子の前に、ずっとわだかまりが解けずに、ケンカ別れしていた歌子の父親(宮口精二)が、「とらや」に訪れてきて・・・。
「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(第13作)」作品のキャスト
- 車寅次郎:渥美清
- さくら:倍賞千恵子
- 博:前田吟
- つね:三崎千恵子
- 源公:佐藤蛾次郎
- 社長:太宰久雄
- 絹代:高田敏江
- 老紳士:吉田義夫
- 歌子の姑:小夜福子
- 竜造:松村達雄
- 御前様:笠智衆
- 高見:宮口精二
- 歌子:吉永小百合
<サブキャスト>
中村はやと/高橋基子/泉洋子/石原昭子/武智豊子/羽生昭彦/長谷川英敏/松下努/松原直/秩父晴子/後藤泰子/水木涼子/谷よしの/光映子
マドンナ:吉永小百合
<役名:高見歌子>
二年前に陶芸家と結婚したが、結婚して一年後に夫に先立たれ、夫の実家・津和野で肩身の狭い思いをしながら生活をしている。
寅次郎とは、9作目「男はつらいよ 柴又慕情」の時に出会い、津和野の食堂で二年ぶりに再会する。
夫の実家・津和野の町を出ることができずに悩んでいたが、寅次郎との再会を機に、思い切って東京に出てくることを決意する。
ケンカ別れしていた父親(宮口精二)とずっと会わないように生活していたが、直接、会いに来た父親に愛情を感じ、自ら謝るという選択をする。
以前登場したマドンナに再びスポットライトを当てて再登場させるパターンは、この作品が初めてとなった。
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ゲスト:高田敏江
<役名:絹代>
寅次郎が結婚まで考えた女性。
島根県の温泉津で焼物を焼いている。
結婚して子供は二人いるが、夫は三年前に上方へ仕事に出かけたまま行方知れずとなっていた。
寅次郎が「さくら」に紹介しようと絹代に会いに行った時には、すでに夫が絹代の元へ戻ってきている。
ゲスト:宮口精二
<役名:高見修吉>
歌子(吉永小百合)の父。
小説家として家にこもりっきりで執筆活動をしている。
修吉の反対を押し切って結婚した歌子は家を飛び出してしまい、現在は一人で生活をしている。
夫が亡くなったという歌子からの連絡を受けるが、葬式に出席することなく、実家に戻ってくるようにだけ伝えた手紙を歌子に送っている。
歌子とのわだかまりは、以前よりも深いものになっている。
今回も、口数の少ない不器用な父親役だが、存在感のある父親を演じている。
9作目では渥美清とのカラミが一切なかったが、今回は二人で会話のやり取りをするシーンがある。
「男はつらいよ 寅次郎恋やつれ(第13作)」作品の解説
この作品は、9作目の「男はつらいよ 柴又慕情」に登場したマドンナ・歌子(吉永小百合)の2年後を描いた物語である。
父親・修吉(宮口精二)の反対を押し切って結婚した歌子のその後と、修吉とのわだかまりが解けないまま東京に戻って働こうとする歌子の苦悩が描かれる。
どちらかというと、この作品は寅次郎をメインにした物語というよりも、わだかまりが解けない歌子と修吉の修復を描いた物語といえる。
とはいうものの、寅次郎のいつものドタバタぶりは健在で、要所要所で笑わせてくれるシーンが盛り沢山である。
そして、この作品を最後に、おいちゃんを務めた松村達雄は卒業し、次回作から下條正巳が三代目おいちゃん役として登場してくる。
夢のシーン
花嫁を紹介しようと「とらや」に帰ってきた寅次郎が、おいちゃんとおばちゃんの墓で泣き崩れる夢。
第5作の夢のシーン以来の、リアルな夢。
登場人物は、すべてそのままの役で登場。
なぜか、とらやの入口手前が石段となっており、とらやの居間の襖を開けると、そこはもうおいちゃんとおばちゃんの墓がある庭につながっている。
口下手な父親と一人娘の修復の物語
この作品は、9作目に登場した歌子の2年後を描いた物語になっており、歌子と父親である修吉とのギスギスした親子関係が再び描かれることになる。
9作目では、歌子が修吉の反対を押し切って駈け落ち同然に家を飛び出していたが、修吉との親子関係は決して悪いほうに向かったようには描かれてはいない。
しかし、その後二年という月日を経て、歌子と修吉の親子関係は修復されるどころか、余計に険悪な関係になっていた。
この作品は、歌子と修吉との二年越しの親子修復の物語である。
夫に先立たれ、修吉の反対を押し切って駈け落ちした歌子は、当然父親の元へは帰れないし、会うことすらできない。
そして、修吉は自分の望みに反して家を飛び出した歌子をいまだ許せない気持ちを持っており、歌子に冷たくあたってしまう。
冷たくあたる父親の態度に、歌子はますます修吉に会うことを拒むようになるのだ。
自分の父親と和解ができなかった寅次郎の後悔の念
歌子と修吉が和解する光景を見せられた寅次郎は、しばらく半病人となってしまう。
二人の和解を目の当たりにした寅次郎は何を思い、何を感じ取ったのだろうか?
歌子が父親と仲直りできたことを喜ぶ心の裏で、15歳で父親とケンカ別れし、一生和解できずに亡くなってしまった自分の父親への後悔の念が込み上げていたのかもしれない。
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